【読書レビュー】池上彰監修『なぜ僕らは働くのか』

みなさん、こんにちは!進学塾ライトアップ、代表の西川です。

土曜日は朝の10時ごろから教室を開けます。日・月はお休みですのでご注意ください。

最近、いくつかの中学校で休職をされている先生がいるという話を耳にしました。先生がいなくて1か月近く自習という教科があるというのも、生徒さんたちから伺いました。お休みされている先生方の心や体も心配ではあるのですが、学校という場での勉強の機会を奪われている子供たちも心配です。(このあたりは近日中にまたブログで書きたいことでもあります。)

すぐに先生が補充がされないということは、・・・やはり学校の先生というのは過酷なお仕事なんでしょうかね。

ということで、本日は「お仕事」に関する本で、久しぶりに読書レビューを書いててみたいと思います。

みなさんが勉強をする以前の、大切なことが書かれているように思います。この本を読んで、「将来」「人生」について色々と考えてみて、ご家庭もしくは友達との間で話題にしてほしいですね。

池上彰監修『なぜ僕らは働くのか』

https://gakken-ep.jp/extra/nazehatarakunoka2020/

東京で暮らしていたハヤトは中学受験を経験する。無事合格したものの、周囲の秀才たちに劣等感を感じて不登校になってしまった。ハヤトを心配した両親は母親の実家のある広島に引っ越すことを決断。ハヤトは市内の公立中学校に転校する。

新しい環境にも慣れてきたころ、学校では職場体験の準備が進んでいた。将来への不安を日々漠然と感じていたハヤトは、ふと「働くことの意味」「就きたい仕事」について思いをはせる。

同居する叔母・優は、そんなハヤトにある本の一部を手渡す。そこにはハヤトがまさに悩んでいた「働くとはどういうことか」が書かれていたのであった。

お金、働き方、仕事の見つけ方、幸せ、新しい時代、勉強……。本を通してさまざまなテーマ、さまざまな考え方を知るうちに、ハヤトは自分自身を見つめ、精神的に大きく成長していく。

なぜ優はハヤトに本を読ませたのか? 最後、驚きの展開とともに、真相が明らかになる。

https://gakken-ep.jp/extra/nazehatarakunoka2020/ より引用

書店の目立つところに置かれていて、だいぶ前に購入はしていたのですが、少しずつ時間をかけてじっくり読ませていただいていました。全ての漢字にルビがふってあり、小学生でも読めるようになっています。

上にリンクを貼らせてもらった特設ホームページに飛んでいただくと、声優の花江夏樹さんやフリーアナウンサーの宇賀なつみさん、『夢をかなえるゾウ』著者の水野敬也さんなど、色々な方面の方からのこの本に対する絶賛のコメントが見られますし、本の帯の部分にも、大学生や高校生、会社員など一般の方からのコメントも載っています。

どんな人に読んでほしいと思って書かれた作品なのか、どんな思いをもって作られた作品なのか。冒頭の前書きを紹介したいと思います。

 この本は、将来の働き方について中学生や高校生に考えてもらおうと願って作られました。この本を読めばわかりますが、本を一冊作るのにも多くの人が携わっています。この本を作るにあたって、私たちスタッフは自分の子どもの頃のことを思い出していました。将来どんな職業に就きたいのか、希望や不安を持っていたことを。

 そんな昔の自分に対して、「不安にならなくても大丈夫だよ。まずは世の中がどんな仕組みになっているのかを知っておこう。それからじっくりと考えたり、いろんな体験をしてみたりすれば、きっと自分の仕事が見つかるさ」と語りかけながら完成させたのが、この本なのです。

 この本は中高生向けではありますが、大人であっても、自分の仕事に不満を持ったり、不安があったりする人がいるでしょう。そんな大人にも読んでもらいたいのです。

(中略)

 一冊の本が人生を決める。この本が、あなたにとって、そんな特別な一冊になることをスタッフ一同願っています。

池上彰監修『なぜ僕らは働くのか』学研 p.2-3

どうでしょうか? 「あとがき」にも書かれていたのですが、この本は「手にした人に一生大切にして、何度も読み返してもらえる特別な一冊になってほしい。」という熱い想いで作られたものだということが分かります。私たちが、人生の多くの時間をかけるであろう「お仕事」について、色々な角度から書かれている作品です。

お仕事ものの本ということで、堅苦しく感じるかもしれませんが、この作品は「マンガ」パートと「読みもの」パートに分かれていて、読みやすく、あまり説明臭くならないように作られています。「マンガ」パートのあらすじは上で引用した通りです。

進学校に通ううちに劣等感を感じて不登校になり、東京から広島の公立中学校へと転校してきたハヤトくんと、それを支える家族のお話です。

お母さんは仕事をやめて一緒に広島の実家へと帰り、お父さんは東京に1人で残って単身赴任状態。そして、失敗・挫折を経験してしまったハヤトくんに対して、実家に戻っていたフリーのデザイナーをしている叔母の優さんが、今しているお仕事の話をしながら、新しく出版する本のデザインを担当していることを話してくれます。そして、その作りかけの本の中身を少しずつ見せてくれる、という形で、「読みもの」パートへの導入がなされています。

「読みもの」パートでは資料や、実際に働く人たちの具体例などを交えて、仕事について考えたり、自分に合った仕事に出会うためには、子どもたちがどんなことを考えていけば良いのかが書かれています。作品は全てカラーでイラストもたくさん使われており、説明の大切な部分は太字で色付けされているため、長い文章を読むのが苦手な子でも、大切なことは理解できるように工夫されています。

本書で扱われている内容がどんなものなのか。それを確かめるために目次を見てみることにしましょう。各章の終わりに、「働く人の声」というコラムがあり、色々なお仕事をしている人が、自分の仕事のどんなところにやりがいを感じているのかも書かれていて、知らないお仕事のことについても、興味を持てる作りになっています。

第1章 仕事ってなんだ?

 働く人の声① あなたの仕事はどんな仕事ですか。

第2章 どうやって働く?どうやって生きる?

 働く人の声② あなたはなんのために働いていますか。

第3章 好きを仕事に?仕事を好きに?

 働く人の声③ あなたの「夢」はいつ見つかりましたか。

第4章 幸せに働くってどういうこと?

 働く人の声④ あなたが仕事を頑張れるのはなぜですか。

第5章 大人も知らない未来の‟働く”

 働く人の声⑤ あなたが転職したのはなぜですか。

第6章 いま あなたたちに伝えたいこと

 働く人の声⑥ 仕事で嬉しかった瞬間を教えてください。

エピローグ 君に伝えたかったこと

池上彰監修『なぜ僕らは働くのか』学研 p.4-7 より一部引用

子どもたちに将来なりたい仕事は何ですか?と尋ねたとき、当然ですが子供たちは実際に知っているものの中からしか選べません。

「学校の先生」「保育士」「お医者さん」「看護師」「スポーツ選手」「警察官」「消防士」「マンガ家」「YouTuber」、これにお父さんお母さんのお仕事を加えたものくらいではないでしょうか? あとは安定しているとか何かで聞きかじって、「公務員」くらいかな?

しかし、「お仕事」というのはこれ以外にもたくさんあるんだよ、ということがこの本を読んでいると分かるようになってきます。

みなさんがコンビニで何気なくお菓子を買ったとしても、そこには大勢の人が関わっています。商品のお会計をしてくれた店員さん、そのコンビニを経営している会社の社員さんやお店の店長さん、お菓子会社の社員さん、お菓子のパッケージをデザインしたデザイナーさん、そのお菓子をお店まで運んでくれる運送業の人、その運送の途中で電車を使ったなら、線路や鉄道を管理している鉄道会社の人、運ぶ前に倉庫で管理をしていたなら倉庫業の人、そして、みなさんにお小遣いをくれたお父さん、そしてお父さんが働いている会社の人・・・などなど、多くの人が関わっています。

色々な人のお仕事があった結果として、みなさんがコンビニでお菓子を買えている訳です。だから、この社会というのは、直接は見えないところでたくさんの人が働くことで成り立っています。今、ウクライナで起きている戦争のせいで、ガソリンの値段がどんどん上がっているんですよね。それが原因で、これから色んな商品の値段が上がっていくかもしれません。ニュースの中の全然関係ない話ではなくて、私たちは世界ともつながっているんですよね。

この本で、みなさんが知らなかった世の中の仕組みが見えてきて、自分の将来の夢や目標のヒントになってくれたら嬉しいです。

私がこの本の中で、特に皆さんに読んでほしいのは、第4章「幸せに働くってどういうこと?」の項目です。

ここでは、スタンフォード大学のクランボルツ教授による「良い生き方・働き方をするために大切な、5つの要素」について触れられています。それが、

①好奇心(新しいものにワクワクする姿勢)

②持続性(途中で投げ出さずに続ける姿勢)

③柔軟性(他の人の意見や新しい視点を受け入れる姿勢)

④楽観性(不安な気持ちに負けず「大丈夫!」と思う姿勢)

⑤冒険心(新しいことに挑戦をする姿勢)

の5つだそうです。

逆を言えば、「自分では考えず、言われたことだけをやる」「すぐに飽きて投げ出す」「人の話は聞かない」「どうせダメだと思いこむ」「新しいことは失敗するのが怖いからやりたくない」というのは、良い出会いの機会を奪っているということになります。

「成功の反対は失敗ではなく挑戦しないこと」、「成功も失敗も成長をするための大切なヒント」という気持ちが、素晴らしい偶然の出会いを引き寄せてくれると書かれています。

私が地元に帰ってきて、また塾を始めることになったきっかけも、阪田先生に連絡をとったことからですし、週末に地元の人たちとソフトボールを楽しんでいるのも、練習風景をブログで紹介している方に声をかけたからです。ブログがご縁で、全国の個人塾の先生方とのつながりも出来て、塾での良い取り組みなどを勉強させてもらっています。

良い出会いのためには、まず自分から動かないといけないというのは、本当にその通りだと思います。

「絶対に〇〇になりたい!」と思って頑張った結果、新しい夢や自分に向いている別の役割が見つかることだってありますし、同じ夢を持った仲間と出会えて、もっとやる気がアップすることだってあります。

よろしければ、この本を借りて帰ってもらって、家族や友達の間で話題にしてもらえたら嬉しいです。みなさんがなぜ勉強をするのかの、「中心」になるものがこの本で扱われているテーマのはずですし、これが入試の「自己表現」に活用できるものかもしれません。なりたいお仕事や興味のあるものの話も、ぜひ私にも聞かせてください。

ということで、みなさんも充実した週末を送ってください!

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