【高校紹介】塾の先生から見た高専

みなさん、こんにちは!進学塾ライトアップ、代表の西川です。

3/31日はお休みですのでご注意ください。

さて、タイトルにも書かせてもらいましたが、今回は「高等専門学校」、略して「高専」について考えてみたいと思います。

私が以前勤めていた塾の近くには「産業技術高専」という東京都立の高専がありまして、数年に1~2人の割合で受験希望者がおりました。また、尾道に戻ってきてからも、これまでにうちの塾からは「呉高専」に4人の合格者を出しています。うちからはまだ受験者自体がおりませんが、「広島商船」や「弓削商船」も高専です。

通常の高校であれば、3年間通うことになる訳ですが、高専は5年間をかけて学校に通います。そこから専門的な技術を身につけて、色々な企業に技術者として就職をしたり、さらに研究を進めるために大学への編入を目指していく。そんなタイプの少し特殊な学校です。

そして、高専という学校について、塾を卒業してからも、顔を見せに来てくれて、色々と教えてくれる生徒さんがいたお陰で、私の頭の中で高専に関する情報がより整理されてきました。今回はそちらをまとめてみたいと思っています。

尚、こちらは少ないデータの中で私が考えた「偏見」も混じっている可能性がありますので、軽い気持ちで読んでもらえればと思います。

高専の印象その①:勉強は・・・しない!

1つ目から高専にケンカを売ってしまっていますか?笑

これはおそらくどの高専に行くかによっても変わりますし、学年が上がって4年生、5年生になってくると変わると思うのですが・・・。

大変失礼ですが、高専生にあまり勉強をしている印象がありません。

というのも、高専はそもそも休みの日が多いです。学校の夏休みや春休みは大学と同じように2か月近くあります。特に1,2年の間は暇そうにしている人も多いように思います。

それに高専に通う生徒さんたちには、大学入試というものが必要ないため、私たちが一般的な高校で目にしているような、学生たちが大学受験のために頑張るという姿が見られないです。

また、日ごろから解いている問題も大学入試のようなひねった問題ではなく、公式をそのまま当てはめて使うような問題が多いです。これは、高専での勉強のレベルが低いとかそういう話ではなく、実用的な使い方を学ぶ高専においては、思考力を問うような問題を解く必要がないということですね。ちゃんと公式を利用して、計算が出来ることが大切なんですね。だから、教科書レベルの問題をたくさん解いているな~という印象で、彼らが大学入試共通テストの問題を解いても、なかなか苦戦するのではないかと思います。

校則も比較的緩いことがあったり、制服がない高専もあります。(呉高専は1~3年生の間は制服着用) 学校も普段は2時過ぎには授業が終わるそうで、そこから遊んだり、ゲームをしたり、部活をしたり、各自がのびのびと過ごすようです。授業中にゲームをしている生徒さんが割といるという話も聞きます。聞いた話ではこっそり寮生が夜中に・・・いや、これは流石に学校側にバレるとマズそうなので止めておきます。

だから、周りに流されずに必要な勉強をきちんとするようにしないと、定期テストで苦戦して留年をしてしまう場合もあるようです。高専に5年間通って、大学への編入を考えている生徒さんは、きちんと入学当初の目標を見失わずに頑張らないと、楽しい方へ流されていくと、結局大学への編入が出来ないまま、就職をしたり高専の上の専攻科に上がることになってしまうかもしれません。

高専の印象その②:コース・学科選びを間違うと大変

「高専の場合、コース・学科は最初から決められているけど、興味がない学科に行くと、興味のない勉強をたくさんやらないといけなくなる。そういう子は本当に大変そうだから、ちゃんと自分がしたいことを考えて、学科選びをしないとダメ。第二志望を書く欄があるけど、第二志望の学科も自分が本当に行きたい学科じゃないなら、第二志望には書かない方がいい。」と、何度も何度も話してくれた高専生がいます。

一般的な高校の場合には、高校1年生の秋くらいに文系か理系かを決めたり、選択の授業をどれにするかを決めたりすることになると思いますが、高専の場合には入学した時点で、既に科目選択はほぼ終わっています。だから、ちゃんと興味のある学科に入学しないと、5年間の勉強が辛くて大変なものになるという話ですね。

つまり、高専に入れるなら学科はどこでもいい、という生徒さんは入学した後が大変になりそうということです。高専に進学することが決まったけれど、自分の進学する学科の授業に興味が持ててないという人は、少なくとも入学するまでに、自分の学科ではこれからどういう勉強をしていくのかをよーく勉強して、教科書をめくって予習をしておくくらいして、何か興味を持てることを作っておくという最低限の準備は必要かもしれません。

高専の印象その③:ICTを使いこなしている学生たちは本当に楽しそう!

上の2つで少しネガティブなことを書いてしまったのですが、安心してください。ここから上げていきます!笑

これは印象その①の裏返しでもあるのですが、高専に進む子たちというのは理系のツールやガジェットに興味・関心が高い子が多いです。自作のパソコンを作ったり、理科や技術や図工の実験・工作が好きだったり、最新のスマホについて詳しかったり、ゲームやアニメが好きだったりという子たちが他の学校よりも多い印象です。

それもあって、色々なツールを使いこなしていて、毎日が楽しそうだなと感じます。

例えば、学校が終わってから友達とみんなでご飯を食べに行こうとなれば、グループの誰かがスマホを取り出し、行きたいお店への生き方を調べ、そのお店の営業時間や、「食べログ」でおススメされているメニューや評価を見てから食べに行くようです。これを15、16歳の頃から、子どもたちだけで自然と出来るって、なかなかすごいことなんじゃないかと思います。

以前ブログでも紹介したことがありますが、自分がどこかに遊びに行こうと思っているときは、位置情報共有アプリで今友達がどの辺にいるかを確認して、近くにいる友達はLINEで遊びに誘う。逆に誘おうと思っている人が近くにいなければ誘わない。アプリを使ってストレスフリーな遊び方が出来ているんですよね。

さらに、これは私が話を聞いた子のまわりが、たまたまそうであるだけなのかもしれませんが、試験直前になるとグループLINE上に誰かが定期試験の過去問を先輩からもらってアップロードしているようです。今は、「手書きの文字を消すアプリ」というものがあって、先輩たちが書いた解答の部分は画像加工によって簡単に、問題の文字の部分だけに出来るみたいですね。ハイテクだしものすごく便利な時代だなぁ・・・。

また、専門科目の知識がある子が、パワーポイントを使って200ページほどの試験対策資料を作ってくれて、クラスのみんなに共有をかけてくれたりもするそうです。その生徒さんが作った試験対策資料を見させてもらったことがありますが、自分の知っている知識をただ並べているだけではなく、アニメのキャラクターの画像が貼り付けて、そこに吹き出しがついていたりするんですよね。みんながクスッと笑って、楽しみながら勉強が出来るように色々な工夫がされていました。「これって、noteみたいなアプリを使えば、売り物になるんじゃないの?他の学校の高専生の子たちにも売れるんじゃないかな?」なんて聞いてしまったこともあります。笑

勉強をあまりしていない・・・という話をしてしまいましたが、きちんとやる子はこうやって使えるツールを利用して、工夫をしながら上手に遊ぶ時間を作り出しているんですよね。素晴らしいことだと思います。

高専の印象その④:英語教育の機会が充実している

これもものすごく良いことだと思います。

呉高専の場合には、英検2級を取得していて、学校の成績が基準に達していれば、「特別枠」で推薦を受けられます。ちなみのこの特別枠というのは、不合格は実質ないそうで、受験資格を満たしていればほぼ合格は間違いないようです。高専なのに、どうしてそこまで英語を重視しているのかというと、今の世の中が「英語が使える理系人材」というものを強く求めているからなんですよね。

高専の中には、理数系の科目は好きだけれど、英語が嫌いという子もかなりいるようです。だから、英語が使える状態で高専に行くと、色々なメリットがあるような印象を、話を聞いていて強く感じました。

STEM教育という言葉をみなさんはご存知でしょうか? STEMというのは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathmatics(数学)の頭文字をとった言葉で、つまり「高度な理系教育」という意味です。もちろん、高専という学校は、まさにこのSTEM教育を実践している学校です。

このSTEM教育というものを国をあげて推進しているため、理系の生徒たちに英語を学ばせる機会を多く与えようと、高専の生徒には国が支援をしてくれる形で「留学」をさせてもらえる機会が多く用意されているようです。

実際にうちから高専に進学した生徒さんの1人は、既に語学研修でタイに短期留学をしたようですし、交換留学の生徒たちとも仲良く楽しく高校生活を送っているようです。そして次は、文部科学省が主催する「トビタテ!留学JAPAN」に応募して、順調に審査を勝ち上がっているようです。そしてどうやら、こうした留学制度においては、高専生は色々と優遇されているという話を聞きました。一般的な高校生たちの倍率に比べて、高専生の方がかなり合格率が高いようです。

留学費用の一部を国が負担してくれる制度を使って、色々な国の人と交流をすることが出来るし、世界の先進的な技術を学ぶ機会が与えられるというのは、すごく魅力的ですよね。ただし、生徒本人がこうした制度を利用して留学をしたい!と思わないことには、そもそも留学なんて意味がないと思いますので、中学生の頃から理数系の教科だけではなく、しっかりと英語も勉強して、得意になった上で高専に入学するのが良いように思います。

まとめ

ということで、私が高専の生徒さんから内部の話を聞く中で、興味深かった話をまとめてみました。

生徒たちにとっては、大学受験に縛られない自由な時間がかなり多く与えられていて、そこで勉強をするもよし、ロボコンに出場するもよし、ゲームに全ての時間を捧げるもよし(?)という形で、生徒たちは楽しく充実した(一部の生徒たちはただれた)学生生活を送れるようです。

この記事を読んでいただいて、高専に興味がわいてきた生徒さんは、古いものになりますが、過去の私が呉高専の文化祭にお邪魔したときの記事もぜひ読んでみてください!

みなさんが、高校を選ぶときに、しっかりと自分で考えて、後悔のない選択が出来るように、私も自分が知らない高校や生徒さんが詳しく知りたがっている高校に関しては、あくまで私というフィルターを通した印象ではありますが、こうやって少しずつ紹介していきたいと思っています。

また、みなさんが実際に高専に行きたいとなったときに、学力が足を引っ張ってしまって、その夢を諦めることにならないよう、勉強面で出来る限りのサポートはしていくつもりです。

2023年度は、子どもがまだ小さかったこともあって、高校見学というものにはあまり行けていませんが、今年度は子育てには引き続き協力しつつも、出来る限り色々な学校に顔を出したいと思っていますので、ぜひご期待ください!

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