【読書レビュー】瀧靖之『「賢い子」は図鑑で育てる』

みなさん、こんにちは!進学塾ライトアップ、代表の西川です。

4/21, 22はお休みです。みなとまつりでええじゃんを踊る生徒さんたちは頑張ってください!

先日の授業で、こんな話をさせてもらいました。

「中学生の頃って、男子はシャツをズボンの外に出すのがかっこいいって思っていたりするじゃん? だけど、大人になってから社会人でスーツのシャツをズボンから出しているのって、酔っ払いくらいなんだよね。だから、そういう生徒を見ると先生の目線からはダサく見えちゃう。ピシッとしている方がカッコイイって思えるんだよ。踊りも一緒で、ダラダラ踊っているのを見るよりも、指先までピシッとして、全力で踊っている方がかっこよく見えるんだよね。だから、だりー、やりたくねーみたいな気持ちの人もいるかもしれないけど、かっこよく見えるように、みんなも全力で頑張ってね。」

ということで、明日は私もひっそりと商店街や海岸通りを回ろうと思っています。そして、カッコイイみなさんが見られることを楽しみにしています!

さて、久し振りの読書レビューですが、こちらは以前ネット記事で紹介されていて、気になって買った本のレビューです。またいつものように長くなってしまっていますので、気長に読んでもらえればと思います。

瀧靖之『「賢い子」は図鑑で育てる』

16万人の脳画像を見てきた、第一線で活躍する脳医学者が教える科学的子育て法です。 「人生100年時代」を幸せに生き抜くには、どのように子どもを育てたらいいのでしょうか。学力でしょうか? 思考力でしょうか? もっとも重要なのは、根本となる『脳』を育てることです。「学ぶ」ことが好きな「賢い脳」に育てる究極の科学的子育て法。そのカギは「図鑑」にあります。

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000312311より引用

脳を3次元で映し出すMRI画像を長年見続けた脳のお医者さんが、子どもの脳の発達に何が良いかと考えて至った結論が『図鑑』です。この本では、図鑑を読むと子供の脳や実際の行動にどのような変化があるのかを説明してくれています。

人間の寿命はどんどん延び続けており、今の子どもたちがお年寄になる50年以上先には、平均寿命は100歳になるのではないかとも言われています。寿命が100歳ということは、60歳で仕事を辞めたとしても残りの人生はまだ40年、半分近く残っているんですよね。

15歳の子供たちが残りの85年をどのように生きるかの鍵が、「学ぶ」ことにあると筆者は述べています。

そして、あっという間に過ぎゆく私たちの時の流れと同時に、社会も着々と変化し続けています。その社会の変化についていかなければ、確実に取り残されてしまいます。

今まで以上に、さまざまな変化に柔軟に対応できる力が求められると思います。

(中略)

そんな中で、学生時代の知識のみで活躍し続けるには限界があります。つまり、加速度的に進化する社会に振り落とされないように、私たちは新しい知識を学び続け、変化に対応していかなければならないと私は思います。

(中略)

私たちの子どもたちには、「学び続けなければ生き残れない」未来が突きつけられているのです。

瀧靖之『「賢い子」は図鑑で育てる』p.18-20より引用

このあたりの考え方は、ブログを読んでくださっている方なら、私が共感しまくりなのは分かって頂けるでしょう。むしろ、この本の内容をパクッていたんじゃないかというくらいそっくりです。笑

数十年前までは、女性は結婚して子供を産んで当然でしたし、女性は無理に大学に行く必要はないという風潮でしたし、電車内・バスの中での喫煙も当たり前でした。今の価値観ではセクハラ・パワハラと呼ばれる行為なんて日常的に起こっていました。

「結果を出せないやつが休もうなんて思うな。結果を出せない人間は会社のお荷物。結果を出せない人間は、プラスの結果を出す人間に飯を食わせてもらっているだけなんだぞ!」こんな風に社員に怒鳴る会社が、・・・どこかにあったような気がしますが、これもれっきとしたパワハラですよね。

少し前に『不適切にもほどがある』というドラマがヒットしましたから、このドラマをご覧になっていた生徒さんたちなら、そんな時代があったんだというのは分かってもらえると思います。

さかのぼってみれば、ほんの80年前までは日本は戦争をしていましたし、150年ほど前まではまだ武士がいた江戸時代です。

最近でいうと、スマホが普及し始めてまだ15年か20年くらいですよね。今はスマホのない生活なんて考えられないと言う人が多いでしょう。10年前は、テレビ番組だって録画を見るのが当たり前で、サブスクなんて全く流行っていませんでした。そんな風に、10年や20年という期間でも世の中は劇的に変化していきます。

これからの社会もどんどん変化していくでしょうが、勉強するのは学生のうちだけという人は、その変化に取り残されてしまうのではないかと、この本では書かれています。子どもだろうが大人だろうが、色々なことに知的好奇心を持って、どんどん新しいものを知っていくことが大切なんですよね。私も全く同感です。

塾では生徒の皆さんに、勉強をする中身を学んでほしいのもそうですが、それよりも勉強をする姿勢を学んでほしいと強く願っています。今の時点の学力で負けている人がいたとしても、皆さんはこれから先、大きな事故や病気がなければ、まだ80年以上も生きていくわけです。その中で、コツコツと何かを学んでいれば、きっと何かしらの成功を掴めます。

ということで、実際に『図鑑』で勉強をするのがどんな風に良いのかを見ていきたいと思います。

「記憶」をするためには「感情」「知りたい欲求」が大切!

何かを覚えるときに、無感情にただ話を聞くだけよりも、「驚き」や「感動」などの感情を伴う方が記憶しやすいということが本には書かれています。

実はこの話はとても大切だと思ったので、数か月前に教室にいる生徒さん全員に話しています。

人間の脳の中では、感情を引き起こす「偏桃体(へんとうたい)」という部分と、記憶をつかさどる「海馬(かいば)」という部分が隣り合っているのだそうですが、その偏桃体が活性化すると、つられて隣にいる海馬も活発に働くのだそうです。

つまり、感情が高ぶったときの出来事は、記憶に残りやすいということです。

「だから、みんなも授業を受けながら『へー!そうなんだ!』と驚いてください。『面白いなー!』と思ってください。先生もみんなにそう思ってもらえるように、しっかりと授業準備をするので、みんなも驚いたり感心したりする準備をしておいてください。」

こんな話をさせてもらいました。

みなさんがつまらないと思うものはなかなか記憶に残りません。逆に、面白いな~と思えたものは記憶に残ります。もちろん、面白いと思うためには話す側の技術も必要なのですが、受け入れる側の生徒の皆さんの心がまえも大切です。

「だりぃー。授業早く終わらないかな。スマホいじりたい。」と考えながらイヤイヤ授業を聞くのと、「次は先生がどんな話をしてくれるんだろう。楽しみだな!」と思いながら授業を前のめりで聞くのとでは、同じ授業でも吸収する量が違うということです。

そして、聞く側の皆さんが興味を持てるかどうかに大きく関わるのが、授業で聞く話を「全く知らない」のか「少しだけ知っているか」の違いです。ここに図鑑が大きく関わってきます。これが本の中では「ファミリアリティ」(親しみ)という言葉で紹介されています。

図鑑はもちろん知識の宝庫です。大学の研究室でも、調べやすいので、子ども向けの図鑑を置いているところがあるくらいです。

そのすべてを覚えて知識をつけよう、という話ではありません。子どものうちに、図鑑に親しみ、動植物から地球の歴史、宇宙に至るまで、でてくる言葉に触れるだけでいいのです。覚えていなくても、意味を正確に理解していなくてもいいのです。

「聞いたことがある!」

「なんとなく知っている!」

その感覚が、重要なのです。

心理学の用語で、「ファミリアリティ」というのですが、脳は見たことがあったり、知っていたり、親しみを感じたりするものを、好ましく感じる傾向があります。

(中略)

「あ! 図鑑で見た!」

そう気づくことで親しみを感じ、先生の話がすっと頭に入ってきやすいのです。

(中略)

勉強をネガティブにとらえさせないためには、なるべく学校で習う内容に親しみと自信をつけておくことです。

そのために最適なツールが『図鑑』であり、「図鑑好き」が「勉強好き」につながっていくのです。

瀧靖之『「賢い子」は図鑑で育てる』p.95-98より引用

子ども向けの図鑑が大学の研究室にも置かれているというのは、興味深いですね。

そして、今回は『図鑑』に特化したような話になっていますが、「ファミリアリティ」を感じて、今自分が勉強していることに興味が持てるというのは、何も図鑑に限った話ではないと思うんですよね。

洋楽が好きな人が自分の好きな曲を聞いて英語を覚えたり、自分の推している芸能人やYouTuberがおススメしているものを同じように好きになったり、ゲームや小説やマンガに登場するセリフやキャラクターの名前、必殺技の名前などから色々な言葉を覚えたり、好きなものから得た知識で世界が広がっていくということはたくさんあると思います。

図鑑がおススメされているのは、あくまでもこの本が、学校に通う前の6歳未満の子供に読ませることを想定しているからです。「図鑑で見る」→「実物を見る」→「勉強をすることが楽しいと思ってもらう」のサイクルを小さな子供にも起こしやすいのは、植物や動物や乗り物や星など、身近なものがたくさん載っている図鑑なのは間違いないと思います。ですが上で述べたように、図鑑以外のものにも、みなさんが勉強を楽しいと思える種はいろんなところにまかれています。

みなさんが今までに見聞きした言葉が多ければ多いほど、勉強は楽しくなりやすいということです。

授業をしている中でも、話を聞きながら「うんうん」とうなずいてくれている生徒さんは、勉強が得意になりやすいです。身の回りの色々なことに興味・関心を持っていることが、勉強が得意になる第一歩ということですね。

「気になる」→「調べる」→「わかる」の小さな成功体験を重ねることが出来る

上て述べたことと関連していますが、「勉強をすると、世の中のことを知ることが出来る。そしてそれは楽しいことである。」

この気持ちを持つことが出来れば、人は成功体験を積み重ね、どんどん新しいことを知ろうとしていくというんですね。

勉強の楽しさをきちんと知っていれば、成績に波はあっても、学び続けることをやめないはずです。

(中略)

伸びていく子は、小さな成功体験を積み重ね、努力の先にある成功の快感を知っているのです。だから、子どもながらに努力ができるのではないでしょうか。

成功体験は大切です。成功体験から、困難な状況でもポジティブに物事をとらえられるようになります。思考は、生まれつきではなくて、変えていけるものです。そうすれば、つねに目標をもって邁進(まいしん)することができるでしょう。

瀧靖之『「賢い子」は図鑑で育てる』p.100より引用

自分が少しでも興味・関心があることを『図鑑』で見つけて、そこからもっと知りたい!と知識を広げていく。そしてさらに深い知識を学ぶ成功体験を重ねていくことで、自信が深まっていく。そうすることで、ずっと努力をし続ける人になれるというサイクルのようです。

それを裏付けるデータも本の中に書かれています。

小学生時代、「読書が好きだった」東大生は86%という高い割合です。そしてじつに87%の家に「図鑑があった」という結果に、私も驚きました。

また、リビングに本棚があったと答えた割合も高く、アンケートに答えた東大生の多くが、子どものころから日常的に『図鑑』や本に親しんでいたことがわかります。

瀧靖之『「賢い子」は図鑑で育てる』p.71より引用

私は東大卒ではありませんが、私も子供の頃に「生き物地球大百科」という図鑑を読んで、宇宙やクワガタのことを好きになった記憶がありますし、恐竜の本を定期購読してもらって、恐竜の化石のパーツを集めて楽しんでいた記憶があります。

だから、子どもの頃には『図鑑』によって色々なことを知りたい欲求が生まれていたのかなと思いましたし、中学生の頃も勉強は嫌いではなかったのかなと思いました。

私が大学で出会った尊敬する大学院の先輩も、暇な時間があればウィキペディアを読んで、常に色々な知識を得ているという話を聞きました。子どものころから、「知りたい」という欲求を持っている人は大人になっても勉強をすることを止めないんでしょうね。

特に今の時代は、興味・関心があることを深く知っている「オタク」「激レアさん」が非常に重宝される時代だと思います。大学受験や高校受験に直接的には結び付かなくても、自分の強みになることを勉強し続けるような子どもになれば、将来きっとそれは大きな武器になるはずです。

中1・中2の皆さんは、高校入試で内申が重視されなくなっている今こそ、自分がのめりこんで知識を深めたくなるものを見つけておくと良いと思います。

発達段階に合わせた図鑑選びを

この本の後半では、子どもの発達段階に合わせて、何歳くらいのときに脳のどの分野が発達するのかを紹介してくれていて、それに合わせた図鑑を紹介してくれています。

0歳~1歳は「感覚」が磨かれる時期。子どもにとって大切なのは愛情表現であり、図鑑は「読み聞かせる」ので十分なのだそうです。このころは機械的記憶が発達する時期のため、子どもが理解をしていなくても読み聞かせていた本の中身を丸々覚えてしまうこともあるようです。私も時間を見つけて子どもに読み聞かせをしたいなと思いました。

3歳~5歳は「音楽・スポーツ」の感覚が磨かれる時期。今は音が出る図鑑もありますし、うちの子供は既にYouTubeで歌を聴きながら踊るのが好きになってきていますので、この時期にリズム感をさらに鍛えてあげたいところです。

「語学」が磨かれるのは8~10歳の頃だとも書かれていましたので、ここで英語の習い事をするのも良いかもしれませんね。

また、子どもの好き嫌いが決まってくるのが大体3~4歳の頃だとも書かれていました。そのための準備段階が2歳だとも。子どもに色々なことを押し付けるのは良くないでしょうが、せめて何かを勉強することは好きになってほしいので、色々と作戦は立てておこうかなとは思っています。

そして、図鑑を集めようと思っているんだと生徒さんたちに話をしていたところ・・・

大変ありがたいことに・・・なんと図鑑と絵本を頂いてしまいました。(一番左の図鑑は私が中古で買ったものです。)

奥にある「地球」という絵本がこれまた凄くて、どうやって石油を採掘するのかや、都会の地下がどのような構造をしているのかが分かる、大人が読んでもとても楽しい絵本でした。

気になって巻末のところを見てみると、作者の方は東大の先生で、この絵本はなんと96刷!

出版されたのは1975年ということで、約半世紀、50年もの間子供たちに読まれていたものすごい本でした!

中学生の皆さんも、何かを知りたいと思ったときに図鑑はもちろんですが、今は色々なツールがあります。まずは自分が将来どんなことをしたいのかを考えて、そのために今から何か集められる情報を探して見るところから始めていけば、それが今学校で勉強していることと結び付くかもしれません。

しっかりと目標・目的をもって、楽しみながら勉強をしていきましょう!

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です