【ニュースで知ろう】脱炭素社会に向けて

みなさん、こんにちは!進学塾ライトアップ、代表の西川です。

さて、多くの学校で定期試験が行われています。試験は3日間、9教科のテストです。コツコツと努力を重ねて来たみなさんの成果がテスト結果に表れることを願っています。今度の日曜日・月曜日も教室は開けています。まだテストが残っている日比崎・吉和の皆さんや、入試に向けた準備がしたい中3の皆さん、教室の本を読んでゆっくりしたいという他の中学のみなさんなど、よければ使ってください。

さて、今回も少し堅苦しいお話になってしまうかもしれませんが、環境問題のお話です。

みなさんが学校で習っているSDGs(持続可能な開発目標)的に言えば、目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」目標13「気候変動に具体的な対策を」と関係したお話です。

先日の、およそ2年ぶりに開催されたCOP26は世界的に大きなニュースでしたね~。

え?知らない? じゃあ一緒に勉強していきましょう!

(実は、私もさっき調べました笑)

COP(コップ)って何??

COP26閉幕:「決定的な10年間」の最初のCOPで何が決まったのか?

https://www.nies.go.jp/social/navi/colum/cop26.html

イギリスのグラスゴーという街で、「国連気候変動枠組条約 第26回締約国会議」、通称『COP26』が開催されていました。

ちなみに、今回で26回目の会議だった訳ですが、24年前の1997年に『COP3』、つまり第3回の会議が行われていて、その議長国・開催国が日本でした。そしてそこで発表された、二酸化炭素削減のための国際的な取り組みについて書かれた文章が、「京都議定書」でしたね。これは入試にもけっこう出るやつです。

さて、話を戻して、このCOP26で主に話し合われたことが、「温室効果ガス」と呼ばれる気体の1つでもある、二酸化炭素(CO2)の削減です。

2015年にフランスのパリで開催されたCOP21。そこで結ばれたのが「パリ協定」で、世界の地球温暖化をこれ以上大きくしないために、「産業革命以前からの温度上昇を2℃(理想は1.5℃)を下回り続けなければならない」「2050年までに世界の二酸化炭素排出量を実質ゼロにする」ということが言われていました。(実質ゼロというのは、「カーボンニュートラル」という考え方に基づいています。「排出ゼロって不可能じゃないの??」と気になった人は、ぜひ質問をしてくださいね。)

地球温暖化防止の為に大切なのが、「2030年までに温室効果ガスの排出を2010年にに比べて約45%削減する」ことで、2021~2030年はそのための「決定的な10年間」と言われおり、その10年の初年度のCOPということで、今回の会議は注目されていた訳です。

もっと細かい内容が知りたければ、国立環境研究所のHP(上のリンク先)を見てみてください。

しかし、このCOPで出された発表に関して、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんは、約2万5千人を率いてCOPの開催地グラスゴーの市街地をデモ行進し、「ただのパフォーマンスであり、COP26は失敗だ」と批判しました。

15歳の頃から環境活動を始め、現在18歳のグレタさん。上に貼らせてもらった映画予告のYoutubeのコメント欄には、彼女の活動を茶化すような心無いコメントが並んでいます。確かに「飛行機での移動を禁止する」など、実現が難しいことを言っているようにも思えます。ですが、実際のデモの様子でもわかるように、多くの賛同者がいるのも事実なので、きちんと彼女の行動の真意の部分を理解しないといけません。

“I want to feel safe,” she wrote. “How can I feel safe when I know we are in the greatest crisis in human history?”

https://www.wired.co.uk/article/greta-thunberg-climate-crisis より引用

これは、グレタさんが母国スウェーデンの新聞に投稿した、「気候変動エッセイ大会」の文章の一節を紹介しているネット記事なのですが、今の中1の皆さんでも頑張れば理解出来そうな英文ですね。

“want to ~”は「~したい」、”feel”は「感じる」、”wrote” は「write(書く)の過去形で、書いた」、”when”は「~する時」、”greatest”は「great(大きな、すごい)の最上級で、最大の」、”crisis”は「危機」という意味です。

訳が思いつきますか??

「『私は安心したい。』と彼女(=グレタさん)は書いた。『私は、私たちが人間の歴史の中で最大の危機の中にいると知っているのに、どうやったら安心できるっていうの?』」といった意味でした。上手く訳せましたかね?

今が「人間の歴史の中で最大の危機」とグレタさんがおっしゃっている訳ですが、どうもピンと来ない・・・という人もいるかもしれません。今ってそんなに大変なの? 二酸化炭素のことなんて考えずに、普通に楽しく暮らしているけれど、いったい何が問題なの?? となるかもしれません。

実は、そんな悠長なことを言っていられないかもしれないのです。

みんなが政府に対して、グレタさんぐらい怒ったり、何か行動を起こした方が良いかもしれないのです。

大学入試の文章から。ここまで来た地球温暖化

これに関しては、先日高3の生徒と一緒に解いた、学習院大学経済学部の2018年度の英文が非常に印象的でした。

英文の方は少し難しいと思うので、赤本に書かれた和訳から少々引用したいと思います。

気候変動の進行は北極海を覆っている氷の減少に明確に表れている。過去30年の間に、夏期の最小海氷域面積は2分の1減少した。またその体積は4分の3減少した。現在の流れが続けば、2040年までには、北極海は夏の間ほとんど氷がなくなってしまうだろう。

(中略)

海水は熱を宇宙空間にはじき返すのではなく吸収してしまう。それによってより氷が溶け、さらにそれによって海水の露出する部分が増えるので、さらに多くの氷が溶けてしまう。

(中略)

北極が暖かくなることで他の地域で深刻な気候変動が起こりうる。世界の風は極地と熱帯地方との間の温度差によって生み出される。もし熱帯地方より北極の温度上昇の方が速ければ、この差は減少し風速が落ちるだろう。(中略)北半球のジェット気流が弱まることで、思いがけないときに思いがけない場所で吹雪や熱波が生じることになるだろう。

海流のスピードも落ちるかもしれない。北極の氷が溶けることで、熱帯地方から北へ進む海水の塩分が減少する。それにより海水の塩分濃度が薄くなり、熱帯地方に戻るための海中深くへの沈み込みが生じづらくなる。このように循環の速度が落ちることにより、世界中の海流が影響を受けるだろうし、インドのモンスーンから太平洋上のエルニーニョ現象まで、あらゆるものが影響を受けるであろう。

『2020年版大学入試シリーズ 学習院大学(経済学部―コア試験)』教学社 p.96-98 より引用

高校3年生になったら、このレベルの文章を『英語で』読まないといけなくなります。いいですか、だから今からコツコツと英単語は勉強しておくべきです。そうしないと、入試の際に単語が分からなくて苦労します。

・・・というのは置いておいて、話を戻します。今、地球温暖化は、北極圏で急速に進んでいます。北極圏と言えば、気候帯は亜寒帯や寒帯。北海道よりもずっと寒いイメージですが、ここのところ、異常気象の影響でカナダで気温40℃を記録したり、北極で気温20℃を記録したり、そんな信じられないニュースを目にするようになりました。

そして、引用した文章になります。このままいけば、2040年までに、夏の間は北極の氷が溶けてしまうかもしれない、というお話でした。そして、そこから先、・・・どうなると思いますか??

「北極の氷が溶けたら何が問題なの?海水面が上昇するっていうのは聞いたことあるけど。それくらいじゃないの??」と思いませんか? お恥ずかしい話、私にはその程度の知識しかありませんでした。

ですが、この英文を読むと、それどころではないことが分かります。

北極の氷が溶けると、地球上の暖かい地域と寒い地域との「気温差」が小さくなり、その結果、「風」が変わります。風というのは、暖かいところから冷たい所(ごめんなさい、正しくは「冷たいところから暖かいところへ」です。逆に書いていました。)と吹く訳ですが、地球全体の気温差が小さくなれば、その風が弱くなる。風が弱まった結果、今までにないような異常気象が多発する。

さらに・・・、北極の氷が溶けると北極近海の海水の「塩分濃度」が変わり、その結果、「潮の流れ(=海流)」が変わります。そうなれば、魚たちの生活環境も変わるでしょう。中にはその変化に耐えられない魚もいるかもしれません。海流が変わるということは、各地の気候や風向きも変わるでしょう。そしてそれが、上述した風同様に、異常気象の原因となります。

ここ数年は、「異常気象」が異常とは言えないほど、毎年恒例になりつつあります。3年前の広島県の豪雨災害もそうですが、毎年日本のどこかで、多くの死者を出すような異常気象が起こっています。気象庁の観測史上最悪がどんどん更新されています。そんな災害だらけの中で、未来の子供たちは生活をしなければならないのでしょうか?

夏は暑くて、外に出ると命の危険がある。豪雨や豪雪などの異常気象が続く。今後はそれが当たり前になったり、もっとひどくなったりしても良いんでしょうか?

この危機的状況を和らげるために行われている話し合いがCOPということですね。

そして実際に、各国では色々な取り組みが行われています。

私たちが使う電気を作るための発電。その中の1つが、日本の発電量の大部分を占めている「火力発電」ですが、その中でも石炭を使った発電を減らしていこうという取り組みをしている国もあります。

日本の福島原発のような事故はあったけれど、「原子力発電」は二酸化炭素を出さない発電の1つです。この原子力発電を重視しようとしている国もあります。

今のガソリン車よりも環境にやさしいと言われている、「電気自動車」通称「EV車」をもっと普及させようという取り組みをしている国もあります。ですが、EV車のバッテリーには発火の恐れがあったり、バッテリーに使用するリチウム電池を製造するために発展途上国で多くの子供たちが教育を受けられずに労働者として使われていたり、充電設備を補うためにはもっとたくさんの発電所が必要だったり・・・・問題はそこまで簡単ではないようです。

また、日本固有の問題としては、世界の自動車全体が、ガソリン車からEV車に切り替わった場合、ガソリン車を大量に作っている日本の自動車産業は輸出の面で壊滅的な打撃を受け、多くの失業者を出してしまうという問題もあるようです。

自国の産業、それによって生活している多くの人たちを守りつつ、将来の子孫たちのために環境をこれ以上悪化させない・・・これは本当に簡単なことではありません。

「人新世の『資本論』」 から

「新書大賞2021」に選ばれたベストセラー「人新世の『資本論』」の著者で、大阪市立大学准教授の斎藤幸平さんは、これからの世界には、気候変動に対応しながら経済成長をあきらめる「脱成長」が必要だと著書で述べています。この本は新書なので、どちらかというと高校生以上向けの本なんでしょうが、中学生であっても、誰かに意味を聞きながら、意味調べをしながら、頑張って読んでみてもいいかもしれません。

「脱成長」をしなければ、「人新世(ひとしんせい)」と呼ばれる「人類が地球を破壊しつくす時代」がやってきてしまうのだそうです。成長するって大事なことだと私たちは教えられてきましたよね? ですが、それがこれからの時代には良くないことなんだそうです。「経済成長を成し遂げて、豊かな暮らしを!」と政治家が発言し、企業や個人が努力をしてたくさんのお金を稼ごうとすればするほど、地球は壊れていってしまう。これからの経済は、環境に対して最大限の配慮をしながら、時には豊かになることをあきらめながら進めなければならないということだそうです。

それは、私たちがこれまで当たり前にしてきた暮らしを手放すことを意味するかもしれません。グレタさんがやっているように、飛行機という便利さを捨て、海外に行くにはヨットで海に漕ぎ出さないといけない時代が来るのかもしれません。しかし、それが無茶苦茶な話でないことは、ここまで読んでくれた方なら理解して頂けるのではないでしょうか?

まとめ

環境問題というのは、今や高校入試でも、全ての教科で問われる内容となりました。学校の教科書も、環境問題をテーマにしたものは、どの教科であってもどこかしらに登場します。

「いやいや!さすがに数学と環境問題は関係ないでしょ!」と思ったそこのあなた!笑

尾道市で採択されている東京書籍の教科書であれば、中3数学のp.122に、「渋滞学を学んでみよう」というコラムがあり、そこでは二酸化炭素排出を削減するためにどうすれば渋滞が解消されるのかを考えてみよう!というものがあります。他にも、p.221には、琵琶湖に棲む固有種の魚である「ホンモロコ」という魚の個体数を標本調査によって調べるという、環境の変化によって数が減ってしまい、養殖・放流などの保護活動が行われている魚を題材にした問題も登場します。決して数学だって、今の教科書は環境問題を無視しては作られていません。

みなさんも、環境問題をテーマにしたテレビ番組や新聞記事、Youtubeにはもっと敏感になるべきでしょう。入試のため、・・・というのも少しはありますが、みなさんの将来のためでもありますね。

ここで紹介したお話は、簡単にYES・NOの答えを出せないものばかりです。色々な意見を読んだり聞いたりしていると、どっちがいいのか分からなくなって、頭の中がグルグルして混乱します。しかし、そうやって色々な情報を頭の中に入れた後で、自分なりの答えを出す作業は本当に大切です。何か話したいことがあれば、ぜひ教室で私に話をしてください。友達同士で話をしてみてください。学校でこういう活動やったよ~というのがあれば、よければそれをぜひ教えてください。みんなでもっともっと環境のこと、将来のことを考えていきましょう!!

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