【入試情報】ここが変わるぞ、高校の学習内容
みなさん、こんにちは!進学塾ライトアップ、代表の西川です。
26日から冬期講習が始まりました!初日は朝から中3が頑張ってくれ、夕方からは中1・中2の生徒さんたちもたくさん勉強をしに来てくれました!
保護者の方から生徒さんのために差し入れをいただきました!ありがとうございます!
また、生徒さんたちから私個人へ修学旅行のお土産やお歳暮などをいただいておりますが、そちらを載せてしまうと催促しているように思えてしまうので、自粛しております。わざわざ頂けるのは嬉しいですが、修学旅行のお土産は、お土産話でも十分嬉しいですし、頑張って通って頂くことが私にとっては何よりの贈り物です!(夜中に甘いものを食べるとどんどん横に成長してしまう・・・泣)
ということで、生徒さんたちは糖分補給もしながら引き続き頑張っていきましょう!
先日、私がいつも教材を注文している教材会社の方が教室を訪ねて来られ、その際に、「西川先生、よろしければこちらのデータ、ブログのネタにでもしてください!」と、受験情報誌を頂きました。大変ありがたいお申し出でしたので、さっそくそちらを元にして(私の頭の中の整理も兼ねて)こちらでご紹介をしていきたいと思います。
現中学生の皆さんは、高校での勉強内容自体はあまり分からないかもしれませんが、「高校に入ったら、そんな授業が待ってるのか」と、頭の片隅にでもとどめておいてもらえればと思います。現中学3年生が、新高校1年生になったときから、この変更が行われますし、この代から大学入試も変わります。
指導内容が変わると受験が変わる
みなさんが、学校でどんな内容を勉強するのかは、文部科学省が出している「学習指導要領」と呼ばれるものに書かれています。参考までに高校版は文部科学省のHP上でこのようになっています。
高等学校学習指導要領解説:文部科学省 (mext.go.jp)
ちなににこの学習指導要領、教科ごとに本屋でだいたい100円くらいで売られています。私は大学の卒業論文で、英語教育について書かせてもらったので、その節はお世話になりました。
文部科学省の中の、中央教育審議会という場所の初等中等教育に関する部会があり、その中で色々な人が意見を出し合い、そこからおよそ10年間の学校全体の教育方針を決定していきます。今までの流れとしては、30年周期くらいで「ゆとり教育」と「詰め込み教育」を行ったり来たりしていました。今から20年くらい前の2000年代が「円周率は3.14じゃなく3で教えましょう!」でおなじみの「ゆとり教育」。そこから20年かけて、再び「詰め込み教育」に移行しているような状況です。
とは言うものの、ただ知識を詰め込むだけ教育は古い!ということで、現在は「思考力・表現力」を養う教育に向かっています。学校でもみんなが話し合ったり、プレゼンをしたりしていますし、定期試験でも学校の先生方が趣向を凝らした独創的な問題が見られるようになっていると思います。
入試でも、昨年度の大学入試共通テストの数学では、短距離走のストライド走法とピッチ走法の話から計算をしていく問題が出題されました。英語のリスニングでは、イギリス英語だったり、わざと片言の日本語英語のような音声も入っていて、英語話者の多様性を意識させるような内容になっています。広島県の高校入試では、Youtuberに動画作成のお手伝いを依頼する場合、どちらに頼むのが良いか、という風な問題も出題されていて、高校受験も大学受験も、今までのようにただ知識があるだけでは対応しにくいような問題が出題されています。
こんな風に、教える内容が変化してくれば、それに伴って入試も変わりますし、入試で出題される内容が変われば、学校の先生たちや我々塾講師もそれに合わせて指導するようになります。ここ数年は、小学校・中学校・高校と、学習指導要領という「教える内容」の方が大幅に変更されているので、今後の入試動向にも注意していかなければなりません。
・・・ということで前置きはここまでにして、具体的に何が変わるのかを見ていきたいと思います。
教科・科目構成の変化と考察
それでは、実際に各教科にどのような変化がみられるのかをまとめてみたいと思います。(旧課程についている、〇〇A、〇〇Bのような区分は省略しています。理科は科目に大きな変化がないため省略します。)
「国語」
〈旧課程〉国語総合、国語表現、現代文、古典
〈新課程〉現代の国語、言語文化、論理国語、文学国語、国語表現、古典探究
色々な議論が起こっているのが、「現代文」が「論理国語」と「文学国語」に分かれたところです。学校によっては理系を選択してしまうと、「文学国語」を学習しないこともあるそうです。つまり、高校の国語の授業で、小説などの文学的文章を習わない学校もあるということです。
中島敦の『山月記』や森鴎外の『舞姫』、芥川龍之介の『羅生門』など、名作と言われる明治の文学作品に触れる機会が減ってしまうことを危惧する意見もある一方で、「じゃあ一体、どれだけの人が『山月記』の話を理解してるの??そんな難解なものをやる前に、子どもたちの読解力は落ちているんだから、もっと実用的な文章が理解出来た方が、将来の役に立っていいじゃないの?」という意見もあったようです。
また、大学入試共通テストでは、現時点では「文学的文章」が出題されているため、学校で習わないけれど受験に必要な場合には、自分で参考書を買って勉強するなど、何か対策をしなければならなくなるかしれません。
「地理歴史」
〈旧課程〉世界史、日本史、地理
〈新課程〉地理総合、地理探究、歴史総合、日本史探究、世界史探究
「公民」
〈旧課程〉現代社会、倫理、政治・経済
〈新課程〉公共、倫理、政治・経済
社会は、科目構成が大きく変わります。「地理総合」「歴史総合」「公共」が必修科目です。
私もそうですが、今までの学習課程では、高校での地理は必修科目ではなかったため、高校では地理を全く学習しない、という生徒たちもいたことでしょう。しかし、世の中のことを理解し、持続可能な社会を作るためには、地理は非常に大切な科目であるということで、「地理総合」が必修化されました。
さらに、2015年から選挙権が18歳以上に引き下げられているため、政治に関する知識を学習しなければならないということで、新たな「公共」という科目が必修化され、高校2年生までに履修し終わるように組まれています。「現代社会」という名前になじみのある私からすると、少し不思議な感覚がします。そして、「歴史総合」では、世界史も日本史もどちらもからんでくる近現代を重点的に学習していきます。
そこから、文系選択の生徒さんは、「地理探究」「日本史探求」「世界史探究」「公共、倫理」「公共、政治・経済」の中から、さらに発展的な学習をする科目を選択していきます。
「数学」
〈旧課程〉数学Ⅰ、数学Ⅱ、数学Ⅲ、数学A、数学B、数学活用
〈新課程〉数学Ⅰ、数学Ⅱ、数学Ⅲ、数学A、数学B、数学C
数学に関しては、10年近く封印されていた「数学C」が復活するようです!とは言うものの、同じ数学の中でも科目・単元が移動している部分もあるため、名前だけではよくわかりません。それぞれの科目内容を見ていきましょう。新課程からの変更点や単元の説明などは( )の中に書いていきます。
・数学Ⅰ:数と式(集合が数Aから移動)、図形と計量(三角比など)、二次関数、テータの分析(箱ひげ図は中学へ、仮説検定、外れ値などが追加)
・数学A:図形の性質(メネラウス・チェバなど)、場合の数と確率(期待値が数Bから移動、頻度確率が追加)、数学と人間の活動(整数、互除法、N進法など)
・数学Ⅱ:いろいろな式(不等式の証明、高次方程式など)、図形と方程式(直線と円、軌跡など)、指数関数・対数関数、三角関数、微分・積分の考え
・数学B:数列(漸化式や帰納法など)、統計的な推測(確率分布などに、仮説検定や有意水準が追加)、数学と社会生活
・数学Ⅲ:極限、微分法、積分法
・数学C:ベクトル(数学Bから移動)、平面上の曲線と複素数平面(数学Ⅲから移動)、数学的な表現の工夫
この変更点の中で最も目を引くのはやはり、上でも述べた数学Cの追加でしょうか。旧課程では、数学はⅠ・Ⅱ・Ⅲ・A・Bの5種類しかありませんでした。そして、今もある数学Ⅲと、10年ほど前に存在していた数学Cという単元は、一部の理系の生徒さんしか履修しないものでした。
その数学Cに、文系の生徒にもおなじみだった「ベクトル」が移動してしまったため、あの「ベクトル」が、理系だけが勉強する単元になったのでは?と騒がれていました。しかし、文系でも数学Cを勉強する高校もあるようで、2025年の入試に向けて、まだまだ不確定な要素が多いようです。現状で言われている案の1つが、数学Bの「数列」と「統計的な推測」、数学Cの「ベクトル」と「複素数平面」の4項目の中から、3項目を選択して解答する、というものです。そうなると今までの旧課程と出題範囲はほぼ変わらないかもしれません。
ですので、「ベクトル」に関しては数学Cにお引越しをしたものの、まだまだ文系の皆さんの悩みの種ではあり続ける可能性が高そうです。
そして、それに加えて重要なのが、「データの整理」の単元が徐々に高校数学の中で幅を利かせてきていることです。小学校・中学校の学習指導要領の改訂で、今まで中学校1年生で習っていた「データの整理」の基本が小学校5年生に下がり、中1では新たに「累積度数」という項目が追加されました。さらに、中2では今まで高1で学習をしていた「箱ひげ図」と「四分位数」を学習するようになりました。今年度の私立高校の体験模試でも、これらの進出単元から入試問題が出されています。
そして、高校数学では、「仮説検定」「外れ値」「頻度確率」「有意水準」などの語句を新たに学習するようです。このあたりは、私が高校生の頃には全く学習しなかったものなので、新たに勉強し直さなければならないと思っています。
高校数学の中で、(特に文系の人々にとって)一番将来使える単元というのが、「データの整理」なのでしょう。そのため、「データの整理」の中の学習内容も、少しずつ大きく扱われるようになってきており、どんどん重要性が増しています。私が中学生・高校生の頃にはあまり重視されていなかった単元なので、実際の入試問題で出されたときにどんな風に向き合うべきか、という感覚的な部分は、生徒さんたち同様に解いてみて肌で感じようと思っています。
「外国語」
〈旧課程〉コミュニケーション英語(基礎・I・Ⅱ・Ⅲ)、英語表現(Ⅰ・Ⅱ)、英語会話
〈新課程〉英語コミュニケーション(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)、論理・表現(I・Ⅱ・Ⅲ)
今までの英語教育では「4技能(読む・聞く・書く・話す)」というものが言われていましたが、新課程からは「5つの領域」と呼ばれるようになります。従来の「話す」が『やり取り』と『発表』に分類され、英会話を重視する領域と、プレゼンなど用意した資料をもとに発表をする領域に分かれました。高校の授業で英語でプレゼンをする機会というのもこれからは増えていくでしょう。
学習する英単語も、旧課程では中学校で1200語、高校で1800語の合計3000語というのが一つの目安でしたが、小学校から始まっている新課程では、小学校で600~700語、中学校で1600~1800語、高校で1800~2500語の合計4000~5000語というのが基準となります。
「情報」
〈旧課程〉社会と情報、情報の科学
〈新課程〉情報Ⅰ・情報Ⅱ
小・中学校でプログラミング教育が必修化された流れを受け、高校の情報の授業でもプログラミングが必修となりました。高校の授業では、数学Ⅰで学習する「データの活用」と連携をしていくことが決まっていますので、みなさんが数学で習ったデータのまとめ方で数値を集計し、それを基にプログラミングを駆使してプレゼン資料を作り、英語で発表する、というところまで行きつくことが予想されます。科目を横断して、色々な勉強をしていくようで、大変でしょうが楽しそうでもありますね!
そして、新しい大学入試ではこの「情報」も共通テストに追加されます。そのサンプル問題がこちらです。うーん・・・分かりません!笑 だからこそ中学生の皆さんは今までの5教科に加えて、技術家庭の技術のプログラミングの入試対策をしっかりと頑張らないといけないかもしれませんね。(もちろん、残りの教科も大切ではありますが)
「理数」
※新たに新設された教科
〈新課程〉理数探究基礎、理数探究
こちらに関しては、入試科目に追加される訳でもないので、どういうものかよくわからなかったので、少しだけ調べてみました。すると、数研出版の「理数探究」の教科書の紹介ページが見つかりました。
https://www.chart.co.jp/kyokasho/22kou/risutankyu/gen/
実験の際の器具の使い方や、それをまとめて発表するまでの手順を学習してくようです。知識を習得するだけでなく、実際にそれを発表するまでの方法を学んでいくということのようで、新課程の内容から、高校の学習内容もSTEM教育【Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Mathmatics(数学)】と呼ばれる高度な理数教育を目指しているようですね。
まとめ
ということで、私もまだまだ勉強中のところではあるのですが、現時点で分かっている新課程の学習内容と、それに対する私の意見をまとめてみました。
学習内容が変わり、それに伴って大学入試も変わります。制度が変わるときというのは、今までの制度を踏襲する学校と、新しい制度を積極的に導入する大学とで分かれます。そして、新制度を採り入れる大学・学部というものは、対策がしづらいということで敬遠され、受験者数が減ることが多いです。逆を言えば、早い段階から情報収集をしておけば、みんながよくわからなくて敬遠して倍率が下がったところに突っ込める場合もあります。
実際、一部の大学が英語の試験に外部試験(GTECやIELTS)を導入した際は、一時的に倍率が下がりました。しかしその次の年度からは、倍率の低さに目を付けた受験生たちがこぞって受験をし、他の入試以上に人気になったりもしました。
だからこそ、進路選択というのは、特に現中3のみなさんは早め早めにやっておいた方が良いかもしれません。「高校受験が終わったばっかりだし、しばらくはゆっくりしたい・・・」となるかもしれませんが、それでは遅いかもしれません。最近はコロナの影響もあって、説明会が予定通り開催されない場合もあるので、気になる大学は高1・高2のうちにどんなことが学べるのか、入試制度にどのようなものがあるのかを調べておいた方が良いでしょう。
今の時代は、調べようと思えば大抵のことは調べられてしまう時代です。だからこそ、自分から積極的に情報を集めようとする姿勢が大切です。大学というものは、進学を希望する生徒さんたちにとっては「最終学歴」となる場合が多いです。後悔しない選択をするために、情報収集も他人任せにせずに自分から行っていきましょう!!
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