【読書レビュー】吉田たかよし『元素周期表で世界はすべて読みとける』

みなさん、こんにちは!進学塾ライトアップ、代表の西川です。

11/14(日)は、お休みです。ご注意ください!

このブログでも以前に少しだけ触れましたが、先日、長江中学校で、「ビブリオバトル」なる大会が開かれていたそうです。生徒たちが各自、自分のお薦めしたい本を紹介し、1対1でプレゼン対決をします。そして、その説明を聞いた他の生徒さんたちが、どちらの本を読みたくなったかを多数決で選びます。そうして、班代表→クラス代表→学年代表と勝ち上がっていき、最後は文化祭で全校生徒の前で発表する、というものでした。

このビブリオバトルに関して、うちの塾からは優秀な「刺客」を送り出すことが出来ました。なんと、うちの塾に通ってくれている生徒の1人が、私がおすすめした本でビブリオバトルを戦ってくれたそうなんです。私がおすすめした本を読んで、それをさらに別の人におすすめしてくれるのは嬉しいですね。

しかし、・・・結果は残念! わずか1票差で先まで勝ち上がれなかったようなのですが、それを聞いて私が最初に抱いた感想は、「長江中のみんな、この本に出会う機会を失ったのかぁ~かわいそう!」ということでした。それくらい私にとっては印象深い本です。

ということで、約7時間ほどかけて作ったこの記事で、ビブリオバトルのリベンジをしたいと思います! みなさんがこの本を手に取りたくなるように、頑張って書きました!

吉田たかよし『元素周期表で世界はすべて読みとける』

https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334037116

私たちの体、住んでいる地球、そして宇宙。この世に存在するすべてのものが、元素同士の化学反応によってできています。これらの自然科学の摂理を凝縮した万能の道具が、周期表です。元素たちが並んだ周期表のルールは、複雑そうに見えて非常にシンプル。「縦と横のどっちから攻める?」「なぜ人体は取り込む栄養素を間違う?」「元素の化学進化って何?」――難しそうだけどなぜか気になる、そんな周期表の仕組みが一からわかる入門書。

量子化学の基礎、内部被爆のメカニズム、レアアース、超新星爆発など様々なキーワードも、周期表というアプローチから解き明かします。

https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334037116 より引用

この本は、タイトルの通り、中2・中3の化学分野ので習う「元素周期表」についての知識が書かれています。

「元素周期表」というのがこちらです。

『【フォトサイエンス】化学図録(三訂版)』(数研出版)より引用

いかがでしょうか?実際の物質とともに表になっていると、とてもかっこよく見えますね。

中3以上の生徒さんは、ここまで写真が美しいものでなくても、「周期表」と呼ばれる表のようなものは、見たことがあるのではないかと思います。

この「元素周期表」に関する本の説明をこれからしてきたいのですが、そう聞いて、「あ、これは難しいから読めないやつだ・・・」「西川先生はいつも中学生が読みにくい本ばかり勧めやがって・・・」と思って、そっとブログを閉じようとしている方もいらっしゃるかもしれません・・・が、ちょっとお待ちを!笑

確かに、こちらの本は新書と呼ばれるタイプの本なので、ほとんどの漢字に関して、親切に送り仮名などはふってくれていません。その上、高校・大学で習うような化学の専門的な話も書かれています。ですので、この本は中学生には少し読みづらいでしょう。

しかし、安心してください!その辺りは、私もあまり理解できていません!笑 私は文系で、高校では化学にはほとんど触れていませんので、中学理科で教えている以上の知識は大してありません。ですが、そんな私でも、「へ~!だからあれってそうなんだ!」という、新しい発見がたくさんありました。

この本を中学生にも勧めたいというのは、この本を端から端まで丁寧に読んで、内容全てを理解してほしいということではなく、皆さんの身近にあるけど、よく分かっていないものが、化学の知識があるとこんなに面白くなるんだよ、というのを知ってほしいからです。

高校に進学すると、高1の秋ごろには英語・国語・社会を中心に勉強をする文系か、英語・数学・理科を中心に勉強する理系かを選択しなければいけませんが、理系を目指しているのならばぜひ、文系理系の進路選択までには挑んでもらいたい本です。

筆者の吉田たかよしさんは、東大大学院卒。その後、東大の経済学部に入り直し、NHKのアナウンサーを務め、再度大学に入り直して、北里大学医学部で医師免許を取得。その後、政治家の秘書を務め政界に立候補したり、東京理科大学の客員教授をしたり、学習塾をひらいたり、・・・とフットワーク軽く、色々な活動をされている方です。そういえば、お顔をテレビで拝見したことがあるような・・・。

そんなものすごい経歴の方の本な訳ですが、一番最初の「はじめに」の章から色々と衝撃的でした。

周期表と京都の美しい関係?

みなさんは、京都の街をお散歩したことはありますでしょうか。実は、周期表の魅力に惹かれるようになった私の原点は、この京都の街にあったと思うのです。

(中略)

量子力学の研究に打ち込んでいたある日、押入れの中から高校時代の化学の教科書が出てきました。懐かしいなと思って久しぶりに開いてみて、巻頭に掲載されていた周期表が目に入った瞬間、忘れていた故郷の京都の街並みがフラッシュバックしてきたのです。

(中略)

ハロゲンは、周期表の中で、ひとつずつ上の段に上るごとに、元素の性質が少しずつ変わっていきます。これが、河原町通を北に向かうと少しずつ比叡山が近づいてきたのと、実によく似ていると感じさせるのです。京都の街並みと重ね合わせると、元素が織りなす均整のとれた秩序や、それを見事に表した周期表がなんとも愛おしく感じられます。

吉田たかよし『元素周期表で世界はすべて読みとける』(光文社新書)p.3-5より引用

京都の街並みというのは、おそらく・・・

『中学校社会科地図』(帝国書院)p.99-100 より引用

地図帳にも載っている、この碁盤の目のような街並みのことでしょう。

みなさん、よく考えてみてください。

これを見て・・・

『【フォトサイエンス】化学図録(三訂版)』(数研出版)より引用

これが思い浮かぶなんて、・・・いい意味で「やばい人」だと思いませんか?笑

私は、この「はじめに」を読んで、「この人は本物だ・・・」と確信しました!(何の!?)

そして、実際に読んでみると、「なるほど!」の連続で、化学という分野のことがもっともっと好きになりました。

これからご紹介することで、「え?塾の先生のくせにそんなことも知らなかったの?」と思われるものもあるかもしれませんが、私の知識なんてそんなものです・・・。だからこそ、日々勉強をして補おうとしていますし、こうして紹介をすることで記憶に留めようとしています。

知識を定着させるには、インプット(覚える作業)だけではなく、アウトプット(覚えたものを出す作業)も必要ですからね! 実や、塾や学校の授業を聞いて、その中で面白いと思ったことを家で家族に話すだけでも賢くなれるんですよ!

ということで、私がこの本を読んで、個人的に面白いと思ったことTOP5をこちらで発表していきます!

第5位:ヘリウムを吸うとなんで声が高くなるの?

パーティーグッズとして親しまれているヘリウム。(今から約8年前の動画ですね、HIKAKIN若い・・・)

これを吸うと変な声になってしまうのですが、私はなぜそうなるかの理由なんて、考えたこともありませんでした。

しかし、この本にはその答えがありました!

ヘリウムを吸うと声が高くなるのは、ヘリウムが軽い気体だからです。

声の高さは、気体が振動する周波数で決まります。速く振動するほど、つまり振動数が高いほど、音は高くなるのです。同じ調子で声帯から気体を吐き出しても、吐き出す気体が軽ければそれだけ声帯は速く振動できるので、結果として声が高くなるわけです。

(中略)

私がヘリウムガスで甲高い声を披露した後、パーティーに参加していた多くの方から質問を受けたのは、「ヘリウムを吸っても人体に害はないのか」ということでした。

もし、100%の純粋なヘリウムなら、一息吸っただけで、瞬時に死亡してしまいます。ただし、それはヘリウムに毒性があるからではなく、酸素が含まれていないため酸欠で死亡するのです。ヘリウムでなくても、酸素が含まれない気体を吸ったら、どんな成分であっても死んでしまうのです。

もちろん、パーティーグッズのヘリウムには、そうならないように酸素が混ぜられています。

(中略)

ヘリウムを吸っても、肺に入って何もせず、吐く息と一緒に出てくるだけです。

吉田たかよし『元素周期表で世界はすべて読みとける』(光文社新書)p.168-169より引用

音が伝わるためには、空気が必要だという話は、少し前の中1理科の授業でしました。音の大きさに関係するのが「振幅」、音の高さに関係するのが「振動数」でしたね? 空気よりも密度が小さい気体だと、「振動数」が大きくなりやすく、ふだんの声よりも高い音が出る、ということだそうです。パーティーグッズも、思いがけないところで、理科の知識と結び付くんですね!

それにしても、酸素が含まれない気体を吸い込むと、人間がすぐに死んでしまうというのにも驚きです。火事のときに、煙を吸い込んではいけない理由もこれでしょうね。

第4位:レアメタルって何がすごいの?

中1社会の授業で、「アフリカ南部」「オーストラリア北部」「中央アジア」などの鉱産資源として紹介した、「レアメタル」。レアというくらいですから、希少価値が高くて、なかなか採掘できない金属なのはわかりましたが、その中でもさらに利用価値が高いものが「レアアース」と呼ばれているんだそうです。それの違いに関しても、この本にはしっかりと書かれています。

鉄や銅、それにアルミニウムのように、生産量が多く世界中で幅広く使われている金属は、ベース(基盤)となる金属という意味でベースメタルと呼ばれています。

これに対し、地球の表面にそもそも少量しか存在しない、あるいは簡単に取り出すことができないために希少価値を持つ金属を、総省してレアメタルと呼びます。その名の通り、レア(希少)なメタル(金属)という意味です。チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、それに白金(Pt)など比較的なじみのある金属も、希少であれば幅広くレアメタルに含まれます。

一方レアアースとは、レアメタルのうち、グループ3の第6周期までの元素を指します。(中略)ここではレアアースとはレアメタルの一部なのだということを理解しておいてください。

吉田たかよし『元素周期表で世界はすべて読みとける』(光文社新書)p.133-134より引用

電池にも用いられるマンガン、指輪などの材質としても用いられる白金(プラチナ)は、レアメタルの中でも有名な方でしょうか。

そのレアメタルの中でもさらに大切なのが、レアアースと呼ばれる物質たちで、それらがどんな風にすごいのかに関しても、この本にはしっかりと書かれています。

近年、レアアースは資源としての価値が急激に高まってきました。これに伴い、レアアースを求める争奪戦が主要国を巻き込み、世界中で勃発しています。

(中略)

レアアースは、LEDやテレビなどの蛍光体、燃料電池、排気ガスの浄化装置などハイテク製品に使用され始めています。争奪戦が起こる最大の理由は、最新の科学技術で必要とされる強力な磁石をつくるのに不可欠なものだからです。

(中略)

MRIは大きな輪っか状の検査装置です。あの輪っかの内部の正体は、超高性能の協力な磁石です。この磁石を作るのにレアアースが不可欠です。

(中略

レアアースを使った磁石は「希土類磁石」と呼ばれ、何といっても高い磁力を保つことができるのが最大の魅力です。ハイブリット車や電気自動車のモーターは、結局は磁石を駆動するため、磁力が大きくなれば、それだけパワーやスピードがアップするわけです。

(中略)

希土類磁石は熱に強く、長時間続けて使用できるという大きな長所も兼ね備えているわけです。今後も、その用途は広がる一方でしょう。

吉田たかよし『元素周期表で世界はすべて読みとける』(光文社新書)p.132, 133, 135, 136より引用

ということで、レアアースというものは、強力な磁石を作るための大切な素材、ということなんですね。

病気を発見するための装置であるMRIや、環境にやさしいハイブリットカーや電気自動車、LEDやテレビやリニアモーターカーなどのハイテク製品に不可欠な物質であるということで、その重要性がよく分かります。

この本ではさらに、世界中のレアアースの大半を中国が独占しており、その影響が政治的な問題にまで及んでいることや、近年日本の排他的経済水域内でレアアースが大量に発見されたこと、レアアースを鉄などの金属に混ぜることで磁石が強力になる仕組み、などが説明されています。

レアアースのことは、私も本当によく分かっていませんでしたが、その中でも唯一、「ネオジム」というレアアースだけは、「ネオジム磁石」という磁石の名前で聞いたことがありました。実際に100均で買ってきた「ネオジム磁石」を教室でもいくつか使っていますが、小さいのに超強力な磁石です。レアアースなのに100均でも普通に売られてるというのは、ちょっと驚きです。

第3位:宇宙ってどうなっているの?

この本では「原子(元素)」と呼ばれる小さな粒と、それを表にまとめた「元素周期表」の話をしています。実は、この「原子」と「宇宙」の間には、大きな関わりがあるんだそうです。この本の第2章をまるまる使って、物質がどのようにつくられたかが、宇宙の仕組みとともに書かれています。つまり、このあたりは中3の理科で習う「天体」の話と関連しています。

宇宙と周期表なんて、まったく関係のないものだという先入観をお持ちだと思いますが、これは縦割りの学校教育がもたらした弊害でしょう。周期表を上手に使えば、宇宙への理解が飛躍的に高まる。

(中略)

私たちをとりまく元素は、どこで生まれていると思いますか。実は一部の例外をのぞき、天然の元素は地球上ではつくられません。人体を構成している元素は、ほぼすべてが宇宙に由来しています。

元素を誕生させるには、決定的に重要な条件がひとつあります。それは、温度が1000万度を超えることです。

(中略)

新しい元素を生み出すには、元の原子の原子核を、別の原子の原子核とお互いに核力がはたらく距離まで接近させる必要があります。しかし、原子核と原子核とは電気的に反発し合っているので、接近させるには、それを超える膨大なエネルギーが必要です。それが、1000万度という途方もない高温状態というわけです。

もちろん地球上には、基本的には1000万度を超える場所などありません。地表は当然ですが、地中深くに存在しているマグマでもたかだか1000度程度。1000万度と比べれば話にならないほど低温です。そのため、地球では新しい原子はつくられないのです。

吉田たかよし『元素周期表で世界はすべて読みとける』(光文社新書)p.60-62より引用

「水素」「酸素」「炭素」「窒素」などの元素が誕生するためには、1000万度以上の高温が必要だと書かれています。

『未来へひろがるサイエンス3』(啓林館)p.51より引用

この太陽系の中で、1000万度を超える温度になるのは、太陽の中心くらいしかありません。

この膨大なエネルギーによって、くっつくはずのない「陽子」「中性子」といった「原子核」を構成する物質が結び付いて、新たな物質が作られていったのだそうです。これが「中間子理論」と呼ばれる理論で、この理論を導き出したのが日本人初のノーベル賞を受賞した、湯川秀樹博士です。詳しいことはよく分かりませんが、化学・物理の世界でものすごく重要なことを日本人が発見したということですね。

ここからさらに、宇宙では今から約137億年前に、ビッグバンと呼ばれる大爆発によって、原子番号1番目と2番目の水素とヘリウムが作られた話や、宇宙全体の92%が水素、7%がヘリウム、残りの物質を全部合わせても1%程度という割合のお話、最もエネルギーが安定しているのが「鉄」であるというお話、などなど色々な話しが取り上げられています。

書かれている話自体も興味深いのですが、私がもっと気になるのは、「どうしてそんなことが分かったの?」ということです。人類が誕生したのが約20万年前ですが、宇宙が誕生したのがそれよりもはるか昔の137億年前。どうしてそんな昔のことが分かるのか不思議ですよね? 理系の研究者たちはこれらを全て数式で計算をして出している訳です。

本当に研究者の方々というのは、一般人の我々が考えもしないような、途方もないことを検証し、立証しているんですね。理系の道に進みたいみなさん。みなさんはこの世界に足を踏み入れなければいけない訳ですから、理系に進みたいなら、まずは今勉強をしている理科の中で、何か興味を持って色々と自分から調べたくなる分野を探すべきですよ。

第2位:南の島の海が青く透き通っている理由は?

モルディブイメージ
モルディブの旅行・観光ガイド|地球の歩き方 (arukikata.co.jp) より引用

南の島の海というのは、エメラルドグリーンやエメラルドブルーと形容されることも多く、ため息が出るほど美しいですよね? なぜ、あんなに透き通っているんでしょう? この説明は、本編とあまり関わりがない部分だったかと思うのですが、酸素について説明をしていた項目の中に、ちらっと書かれており、思わず「ほー!」と、うなってしまいました。

血液は、肺から全身へ酸素を運び、代謝で生じた二酸化炭素を全身から肺へ送って捨てています。しかし、酸素と二酸化炭素では、運び方がまったく異なります。

(中略)

対照的に、酸素を運ぶのはひと苦労。二酸化炭素と比べると、水にほんの少ししか溶けないからです。冷水なら、まだそこそこ酸素は溶けることができるのですが、体内温度の37度まで上がると、溶解量はぐっと下がります。

ちなみに、南国の海が透明なのはこのためです。熱帯の海は水温が高いので、酸素の量が少なく、このためプランクトンも多くは生きられません。ですから、海水が透き通って見えるのです。一方、北国の海は水温が低いので、比較的多くの酸素が溶けています。だから、プランクトンが繁殖し、水が濁って見えるのです。その結果、プランクトンを食べる魚も、水温が低いほど豊富に育ちます。

吉田たかよし『元素周期表で世界はすべて読みとける』(光文社新書)p.105-106より引用

またしても出た、今度は中2理科の知識! たしかに、二酸化炭素は「血しょう」によって運ばれていますが、酸素は運んでもらえません。わざわざ「赤血球」の中に含まれる「ヘモグロビン」が仕事をしないと酸素を運ぶことが出来ないですよね。

温かい水の中だと、酸素が溶けられないからプランクトンが発生しづらい。だから、海の水はキレイで透き通って見えるんですね! そして、酸素が海水中にあまり溶けていないから、温かい海にはプランクトンが少なく、熱帯魚たちはプランクトンをあまり食べることが出来ない。だから、熱帯魚は脂ものっていなくて美味しくないんでしょうね。

中1理科の知識を少し思い出してみましょう。物体が水にどれくらい溶けるのかを表す値に、「溶解度」というものがありました。この溶解度は、水の温度が上がれば上がるほど、大きくなるもの(温度が高い方が物質が良く溶ける)でしたが、気体の場合はどうやら温度が低い方が良く溶けるようです。確かに、水に二酸化炭素が溶けた「炭酸水」も冷たくしておかないとすぐに炭酸が抜けてしまいますね。

また、水温が高い方が水の透明度が大きくなりやすいというなら、少し前まで透明度世界一の湖だった北海道の「摩周湖」はすごいなぁとも思いました。この本の説明の通りに考えると、水温が低い→酸素が水に溶けやすい→プランクトンが発生しやすい、となるはずです。それでも寒い地域にある湖なのに世界一透明だったのですから、何か大きな秘密があったんでしょうね。

この本の説明を読んで、つながりそうに思えなかった知識がつながりました!

第1位:放射能ってどうして体に悪いの?

さて、ここまで書いてきて、だいぶ疲れてきました・・・・苦笑

ここまで読んでくださった方も、多少は疲れたと思いますので、このお話は簡単にまとめます。

元素周期表を縦に見てみると、原子番号19の「カリウム(K)」の2つ下に原子番号55の「セシウム(Cs)」という放射性物質があります。そして、原子番号20の「カルシウム(Ca)」の1つ下に原子番号38の「ストロンチウム(Sr)」という放射性物質があります。「カリウム」は神経や筋肉を動かすため、「カルシウム」は骨を作るための、動物にとっては不可欠な物質です。

「セシウム」や「ストロンチウム」が「カリウム」や「カルシウム」らと元素周期表では縦に並んでいるということは、電子の配列などがよく似ていることを意味します。そのため、体が「カリウム」や「カルシウム」だと勘違いをして「セシウム」や「ストロンチウム」を体内に取り込み、そのまま蓄積させてしまうんだそうです。

しかし、もちろん「セシウム」や「ストロンチウム」には「カリウム」や「カルシウム」の代わりは出来ません。その結果、神経・細胞・骨などが放射性物質によって異常をきたし、骨のガンとも呼ばれる白血病や、胃がん、肺がん、大腸がんなどの様々な病気を引き起こすんだそうです。放射能は危険という話は、原子爆弾の話などでもよく聞く話ですが、具体的な病名まで示されると、より恐ろしく感じます。

そして、放射性物質を取り込まないようにするには、逆に「カリウム」や「カルシウム」の含まれる食べ物をたくさん食べて、たくさん吸収しておくことが大切だということです。「カリウム」はほとんどの野菜に、「カルシウム」は牛乳や小魚などに豊富に含まれていますので、みなさんも好き嫌いをせずに食べましょうね。

その他にも、面白いテーマがたくさん!

さて、気づけば私のブログ史上、最長?もしくはそれに近いものが出来上がってしまいました・・・笑

ざっと読み飛ばしてしまった方も、それだけ私がこの本を面白く感じ、みなさんに読んでほしいと思っていることは伝わったのではないかと思います。

この他にも、「人間の体はいくつの原子で出来ているのか」「髪の毛と硫黄の関係」「ナトリウム・カリウムと神経の関係」「花粉症治療とアルゴン」「水中で起こる窒素酔いとそれを防ぐヘリウム」「セシウムで作られた140万年で1秒しか誤差が生まれないスーパー時計」などなどの面白いテーマを扱っていました。惜しくもランキング外となってしまいましたが、こちらも面白かったです!

冒頭でも言ったように、専門的な知識で書かれている部分もあるため、中学生よりも高校生の方が楽しく読める本かもしれませんが、そんなことが分からなくても、私にとってはこれだけ興味をひくポイントがありました。

気になった理系を目指す生徒さん、理科を好きになりたい生徒さんは、自分の将来のためにも、この本にぜひ挑戦してみてください!

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