【読書レビュー】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(後編・その②)

みなさん、こんにちは!進学塾ライトアップ、代表の西川です。

明日は3連休最終日、明日も部活の人が多いかと思いますが、しっかりと計画を立てて頑張りましょう!

本日は、今までお休みだった生徒さんの補習対応、宿題や小テストがたまっている生徒さんのお勉強会も行っていました。夏期中はコロナの影響でお休みが多発していましたが、補習が終わっていない人もそこそこ減ってきましたね。

本日、部活の大会があったのに塾に来てしっかりと勉強してくれる生徒さんも何人もいました。「明日も何があっても塾に来ます。」と言ってくれて、テスト前の勉強大会皆勤賞を狙ってくれているのも素直に嬉しい! 皆勤賞の賞状の作り甲斐があります!

「毎日3時間勉強するって書いたので、それは最低限絶対に守ります!」と、とある生徒さんが話してくれました。先日のアンケートに書いてくれた目標勉強時間をきちんと有言実行しようとしてくれるその姿勢も素晴らしい! 約束って守るためにありますからね。その場しのぎにしないというのは、簡単そうで簡単ではないと思います。

さて、明日以降は定期試験ラストスパートに向けたプリント作りや、回収した宿題の添削、があるので、少しあっさり目になるかもしれませんが、本日は、とりあえずこちらを終わらせておきます!

今回も、『スマホ脳』のレビューです。

ビリギャルの著者である坪田先生の本、『才能の正体』のレビュー以来の3本立てのレビューになってしまいました。

前編でまとめたのが、私たちの『人間』が他の動物との生存競争で勝つために獲得してきた機能のお話が中心でした。生き残るための機能が実は今の生活で問題の原因になっていることもある、というのはとても興味深いお話でした。どうして食べすぎるのか、どうして集中力が散漫になるのか、どうして緊張するとドキドキするのかなどなど、生物学的なお話が中心で、生き物の体って上手くできているなと感心することばかりでした。

皆さんも、自分の飼っているペットに関して、「どうして犬っていつも舌を出してハァハァしているの?」「どうしてハムスターって、回し車でクルクル回るのが好きなの?」「どうして猫って、嬉しいとき喉をゴロゴロ鳴らすの?」「どうやってヤモリって窓にくっついていられるの?」など、疑問に思ったことはありませんか? 調べてみると、だいたいの事柄には、生物学的なちゃんとした理由があるはずです。

ちなみに、ヤモリが窓にくっついていられる理由は、2000年に解明され、NASAがその仕組みを宇宙での技術に応用しているみたいですね。

ヤモリのように、壁に吸い付くグリッパー

ヤモリからヒントを得たNASA「究極の吸着技術」(動画あり)

ヤモリの足の裏には無数の毛が生えていて、足の角度を変えるだけでくっついたり簡単にはがれたりするのだそうです。生き物の体の構造を色々な製品に応用する技術をバイオミメティクスと言いますが、この話は高校入試でも出されましたし、広大福山の高1の教科書でも第7章で、2019年の立教大学コミュニティ福祉学部の英語入試でも・・・

・・・

・・・

・・・

・・・(^O^)/

・・・話をもとに戻しますね。あんまり逸れずに踏みとどまりました。苦笑

前編と後編その①でまとめたのが、私たちにとってスマホがどういう存在なのか、ということでした。

スマホがあることで私たちは、集中力を奪われ、どうせスマホで調べられるからと記憶するという行動をサボるようになり、1日の4分の1の時間をスマホに費やし、リアルの世界が楽しくなくなり、寝不足になり、SNSを見ることで心が不安定になり、ピアノのレッスンのような時間をかけて少しずつ上達する活動が嫌になった、というお話でした。それでもスマホには麻薬のような依存性があるので、手放すことは出来ないと・・・とんでもなく悲しいお話でした。

一生スマホを取り上げられるのと、一生言葉が話せなくなるの、どっちが嫌?

そんな「究極の二択クイズ」で、前者の方が嫌だ、スマホがあれば一生話せなくても構わないと考える増えているそうです。みなさんはどうでしょうか?

大学進学が決まった高校生たちを見ていると、SNS上で「#春から〇〇大」などのハッシュタグを頼りに、入学前に何人もお友達を作っている子もいます。

もうこれは依存というより、スマホが身体の一部、もしくは歯ブラシのような生活必需品に近づいているのかもしれません。

ですから、一度与えたスマホを今から取り上げることよりは、きちんとご家庭でルール作りをする方が大切なように思います。

では、もう私たちには、もうスマホ中毒になって、人生全てをスマホに吸い尽くされる以外に道はないのか?

そんなことはありません!その解決策が8~10章に書かれていました。

解決策は「体を動かすこと」!

ということで、ここまでに既に2000字近く費やしていますが、ようやくここから本日の話題です。

すでに見出しでネタバレをしてしまっていますが、このスマホの病に対する解決策はとってもシンプルで、「体を動かすこと」が非常に良いのだそうです。ちなみに、同じ筆者が書いた『最強脳』という別の本では、集中力・発想力・記憶力を上げ、ストレスに強くなるための「運動」のやり方が、分かりやすく書かれています。(もともと子供向けに書かれた本のようなので、読みやすいはずです。)

身体を動かすと心が健康になるというのは、ただの始まりに過ぎない。基本的にすべての知的能力が、運動によって機能を向上させるのだ。集中できるようになるし、記憶力が高まり、ストレスにも強くなる。

 多くの人がストレスを受け、集中できず、デジタルな情報の洪水に溺れそうになっている今、運動はスマートな対抗策だ。最善の方法と言ってもいいかもしれない。

アンデシュハンセン著 久山葉子訳『スマホ脳』(新潮新書)p.203-204

そんな簡単なことでいいのかと私は驚きましたが、みなさんはどうでしょう?

一方で、コロナ禍の今、部活動や運動会が縮小されていたり、外出を自粛する方向になっていたりしますし、夏は熱中症の危険性も高まっていたり、公園でボールを使用することが禁止されていたり、運動をする環境を作るのは、昔と比べて少し難しくなっているような気もしています。

この「運動」というのは、どんな運動を何時間くらいすれば良いのか? そのヒントも書かれています。

 約100人の小学5年生に4週間毎日運動させ、実験を始める前と終了してから一連の心理テストを行った。すると、集中力が増しただけでなく、ひとつのことだけに注意を向けるのも上手くなっていた。しかも、情報処理まで速くなった。驚いたのは、ほんの少しの運動でいいという点だ。運動は教室内で行われ、時間は毎日たったの6分間(!)だったのだ。

アンデシュハンセン著 久山葉子訳『スマホ脳』(新潮新書)p.206

スマホの被害を食い止めるためには、1日たった6分運動で良いという驚きのデータです。

しかし、そのように言われるのも納得な気がします。昨年度、高3の生徒さんと読んだ大学入試の英文の中で、1日20分の運動がダイエットにはとても良いという話が書かれていましたし、別の英文では、8分間歩くことで創造力が増して、素晴らしいアイデアが出やすくなるという話も書かれていました。色々なデータが示しているのは、とにかく10分程度体を動かすことが、脳にとっても、体にとっても、ものすごく良いということです。さらに、運動をすることでストレスも軽減されるということで、メンタルにも良い影響をもたらすことが分かっているのだそう。

では、なぜ体を動かすことでそんな良い影響が起こるのか。その答えは、人類がこれまで狩猟生活を行ってきたことにあると筆者は述べています。

 答えはおそらく、私たちの先祖が身体をよく動かしていたからだ。狩りをしたり自分が追われたりしたときには、最大限の集中力が必要だ。本当に必要なときにいちばん集中力を発揮できるように、脳は数百万年かけて進化したのだ。追うか追われるかという世界だったのだから。

(中略)

 脳の大部分はサバンナでの日々から変わっていないわけだから、身体を動かすことであなたや私の集中力は高まる。

アンデシュハンセン著 久山葉子訳『スマホ脳』(新潮新書)p.208

さらに、具体的な運動量の目安に関しては以下のように書かれていました。

散歩、ヨガ、ランニング、筋トレ――どれも効果があった。運動によっていちばん改善されたのは、知能的な処理速度だ。運動をしていると頭の回転も速くなるというわけだ。

 いちばんいいのは、6カ月間に最低52時間身体を動かすことだ。これは週に2時間という計算になり、さらに分割すると、例えば45分が3回になる。

アンデシュハンセン著 久山葉子訳『スマホ脳』(新潮新書)p.216

ということは、学校の体育の授業や、週2~3日のあまりハードでない部活動というのは、脳の働きを考えるとちょうど良いということですかね。たとえ運動部に入っていなかったとしても、中学生・高校生の皆さんは、通学時間に歩いたり自転車を使ったりして登校しますね。そこで十分に体を動かしているので、バッチリ頭も働いているんだろうと思います。

私も集中力や判断力、創造力を上げるためには、もっと運動しないと・・・

最後の10章には、筆者がこれまで述べて来たことがまとめられていました。良くまとまっているので、ここだけ読んで、書かれていることに気を付けるようにしてもいいくらいです。その内容を全部ここに書いてしまうと、この本の核心部分のネタバレになってしまうような気がするので、私が特に気に入ったルールを2つだけご紹介します。

まず1つ目は、「スマホでなくてもいい機能は、スマホを使わないようにしよう」です。電卓、目覚まし時計、ストップウォッチ、メモ、などの機能がこれに該当するでしょうか。確かにそうですね。スマホにアラーム機能がついているから、つい寝るときにスマホをベッドの横に置いて寝てしまいますが、ちょっとだけ確認を・・・とスマホの画面をのぞいてしまえば、そこから何時間も画面を見てしまうことになるかもしれません。電卓で計算をするついでに、ちょっとだけSNSをのぞいて・・・このちょっとだけが何時間にもなってしまうかもしれません。

2つ目は、「大人も子供も仕事や勉強以外でスマホ他のスクリーンに費やしていいのは最長で2時間」です。これも、納得のルールです。それ以上スマホを使ってしまうと、体を動かす時間が奪われますし、この本に書かれていたような悪い影響が出るかもしれません。

私たちの脳の取扱説明書!

ということで、以上がこの本のレビューとなります。

色々な研究データを示しながら、私たちがどうしてそんな行動をとってしまうのかについて、きちんと理由も示しながら分かりやすく紹介をしてくれたので、読んでいて楽しかったですし、体について、スマホの恐ろしさについての理解が深まったと思っています。

まさに、私たちの脳の取扱説明書だったという印象です。

今まで話してきたような話は、国語の授業中にさせてもらうことがあるのですが、この本の話を聞いて興味を持ってくれていて、「先生その本借りたいです。」と言っていた生徒さんがいました。「ブログの目途がたったから、読んでもいいよ~。」とお話をしたところ、さっそく本日借りていってしまいました。ですので、ご紹介している『スマホ脳』は、今現在は教室にはありません。笑

みなさんに世の中のことを分かりやすく教えて、興味を持ってもらうことも私の仕事の1つだと思っています。だから、色々なニュースの話をさせてもらうこともありますし、気になった本や気になった人の話などをしています。

先日、中3には、『22世紀の民主主義』の著者の成田悠輔さんのお話もしましたよね?(メガネの形が左右違うスーパー頭がイイ人です。)

次はこの本のレビューを書きたいな~なんて、考えていますが、素晴らしいYouTubeの解説動画もありますし、わざわざ出す意味はないかも・・・。ちょっと時間と相談ですね。他にも色々と書きたいことや、ブログを書く時間を使ってやりたいことも溜まっていますので・・・。

西川先生なんて、普段は教室にいて、〇つけをしているか、補習をしているか、ブログを書いているか、お休みの日には寝ているか、ソフトボールをしているかだけのおじさんです。

だから、皆さんにあげられるのはたぶん、興味関心の種だけです。だから、私が紹介したものの中で、みなさんがもった興味関心の種は、自分でしっかりと育てて、花を咲かせていってください! 色んな種は用意しているつもりなので!

ということで、いよいよ明日は3連休の最終日。ほとんど塾で見かけない中1がたくさん来てくれることを期待しています!

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