【雑談】楽をすると、成長は止まる

みなさん、こんにちは!進学塾ライトアップ、代表の西川です。

11/5日、11/6月はお休みですのでご注意ください。

先日、大学入試の英文を高校生の生徒さんと読んでいて、大変興味深かったので、そちらをシェアしたいと思います。

以前にも同じような内容のブログを書いたことがあります。

【雑談】勉強になる大学入試の英文

以前のブログも今回のブログも、伝えたいことは、大学入試の英文は、とにかく面白いんだということです。高校生にも理解できるような、面白くてアカデミックな話を大学の先生たちが、わざわざ選んで紹介してくれているのが入試の英文ですから、それを勉強していくだけでも教養が身につきます。

私は車酔いの仕組みも英文で学びましたし、地球温暖化によって異常気象が発生するメカニズムについても、大学入試の英文で知りました。私が授業中に地球温暖化の話をするときは、それをかみ砕いて説明しているつもりです。

「今の異常気象ってすごいじゃん。北極の気温が30℃になったり、異常に暑かったり、異常に雨が多かったり、異常に乾燥したり・・・。それって全部、地球温暖化が関わっているかもしれないんだよ。どういうことかっていうと・・・」などと、話をさせてもらっています。

先日の中3の授業の際には、「注意力を分散させる」という英文の話もさせてもらいましたね。食べ物やゲームなど、目の前にあるものへの欲望から逃れるには・・・という話でした。4歳の子供を13年後に追跡調査をするという、壮大な実験の結果について説明をしました。この時期の皆さんにとっては、大事な話だったのではないかと思います。

そういう面白い大学入試の文章が、英語でちゃんと読めるようになるために、今からコツコツ英語は頑張っておきましょうね。

『学校』のおかげで延びる子供時代

そして、今回紹介したいのはとある大学入試の模試に登場したAlison Gpnikの『Never-ending Childhood(終わりなき子ども時代)』という英文の内容です。

この英文では、人間社会がどんどん発達するにつれて、「子供の時期が長くなっている」という話をしています。ここでいう子供の時期というのは、「身の回りの生活のことは他の人に任せて、教育を受けている期間」のことを指します。つまり、みなさんにとっては大学を卒業して、企業に就職し、自分で働いて自分でお給料を稼ぐまでの期間ということです。

大昔、原始時代などは小学生くらいの年齢から狩りに出かけていたでしょう。武士の時代には15歳が元服で、そこからは戦場で戦うんでしたね。それが今は、4年生の大学を卒業した後なら、22歳でようやく就職です。さらに大学院に進学すれば、社会に出るのは30歳近くになります。一人前の大人になるまでの期間が、どんどん遅くなってきているのが分かります。

「私たちは『学校』というシステムを使って、子供の期間を延ばしている」

というのが、文章で言われていることでした。学校で何かを学んでいる間はまだ子供なんですね。ただし、それは未熟だとか、そういう悪い意味ではありません。子どもは無力だからこそ、脳に柔軟性があって、色々なことを学び、吸収出来るのだそうです。大人になっていくと経験を得る代わりに、脳はどんどん柔軟性を失っていき、使う箇所がどんどん限られていくのだそうです。

これは体についても、言えるかもしれませんね。赤ちゃんって、足を自分の口元に持ってこられるくらい、体が柔らかいです。それが大人になるにつれて、日常の動作は問題なく行えるようになるけれど、赤ちゃんの頃にあったような柔軟性は失われています。脳もそれと同じということでしょう。

今、社会はどんどん複雑化してきていて、学ばなければならないことがたくさんあります。だからこそ、学校というシステムを利用して、無力な子ども状態を引き延ばすことで、脳が色々なことを吸収しやすくしているのだそうです。

これはなるほど、と思うところが私にはありました。私は20歳の成人式の日には、久しぶりに尾道に帰ってきて、中学校時代の友人たちと再会したのですが、大学生の自分よりも、働いている同級生たち、子供の親になっている同級生たちの方が、はるかに大人に見えました。みんな生活のことをちゃんと考えていてすごいな、自分がやっている大学の勉強がなんだか子供っぽく見えてくるなと思ったことを思い出します。(単に私の精神年齢が幼いだけかもしれませんが・・・)

そこまで考えると、

子供 … 無力で受け身的だけど、誰かから何かを教わればどんどん吸収できる状態

大人 … 経験はあり、自ら行動でき、効率を重視できるけれど、何かを学ぶのには不向きな状態

という対立関係にあることが分かってきます。

親は、自分の子供をいつ「大人」状態にさせるのか、考えないといけませんね。早く自立はさせたいけれど、そうすることで子供が、学ぶことの範囲を自分で狭めてしまうかもしれない・・・。この文章の内容に賛同するのであれば、これはなかなか悩ましいところです。

『効率重視』の良し悪し

「効率を求める」ことは、大人になるにつれて、どんどん重要になってきます。

仕事はちゃんと段取りをして、短い時間で最大限の効果を出すように工夫しなければいけません。家の家事だって同じです。洗濯機のスイッチを押して、その間に食器を洗って、買い物のついでにガソリンスタンドとクリーニング屋にも寄って、・・・いかに同じ時間で、多くのことを終わらせるかを大人はいつも考えています。

ただし、忘れてはいけないのは、「効率を求める」というのは、言い方を変えれば「楽をする」ということです。

効率を求めるあまり、そこで努力をしないようになってしまうと、成長が止まってしまいます。もしかしたら、大人はそれでもいいのかもしれませんが、子供がそうなってしまうと、それは、学力を始めとしたあらゆる能力が、そこで頭打ちになってしまうということです。

部活の練習をするくらいなら、テレビで観戦していた方が楽だし楽しめる。そう考えれば、部活は決して上手くなりません。

宿題なんて頑張ってやるくらいなら、答えを写した方が楽だし、親にいつまでもガミガミ言われない。そう考えれば、決して成績は上がりません。

友達なんて、新しく作らなくても、今いる仲の良い子とだけ楽しめれば他はどうなろうが知らない。そう考えれば、自分の世界は広がらず、誰かと閉じ合った世界しか見えません。

私たちは「学校」という場で、単に友達と会っておしゃべりをして、単に勉強をして、単に集団行動をとっている訳ではないんでしょうね。それだけではなく、一見するとムダに思えるようなことを言われた通りに素直にやって、その努力を積み重ねて、大人になって、「そんなのアホらしい、もっと楽すればいいのに・・・」と考えてしまう前に、色々な能力を手に入れている最中なんでしょう。

そして、いわゆる学力の高い人の中で、社会に出たときに中々活躍出来ない人というのは、学校で重要視されていた「子供」である状態から、経験や効率を重視する「大人」への切り替えが上手く行っていない状態なんでしょうね。

逆に、学力があまり高くなくても、社会に出て立派に仕事をしている人もたくさんいます。そういう人たちは、何かを学ぶ姿勢を犠牲にして、効率を求める優秀な人材として、きちんと評価を受ける仕事をされているんだと思います。

私の中では、世の中にたいする「解像度」が上がるような英文でした。・・・私が理解したことをかみ砕いて説明したつもりですが、これを読んでくれている皆さんにも少しは伝わったでしょうか?

ということで、素直に授業を聞いて、どんどん吸収をしていってください。本日も授業がありますので、頑張りましょう!

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