【読書レビュー】岩本ナオ『金の国 水の国』

みなさん、こんにちは!進学塾ライトアップ、代表の西川です。

8/29~8/31も以前お休みした日の振替で開けることにしました。つまり、8/22~8/31まで毎日10時から開いています。模試の解き直し、受験生は受験勉強、まだ学校の課題が残っている人は集中して終わらせるために塾を利用してください!

補習・授業とこの数日は1日10時間近く授業をしている気がします。気付けば夜になっている浦島太郎状態ですが、頑張ります!

さて、本日はとある少女マンガを紹介します。実はこちらの作品、「このマンガがすごい!オンナ編」で2017年に1位を受賞していて、今年の1月にアニメ映画が公開され、現在は動画配信サービスのレンタルを使って視聴することが出来る作品です。

以下、いくつかアニメ映画の内容から引用します。

100年断絶している2つの国。

‟金の国”の誰からも相手にされないおっとり王女サーラと‟水の国”の家族思いの貧しい建築士ナランバヤル。

敵国同士の身でありながら、国の思惑に巻き込まれ‟偽りの夫婦”を演じることに。

深刻な水不足によるサーラの未来を案じたナランバヤルは、戦争寸前の2つの国に国交を開かせようと決意する。

お互いの想いを胸に秘めながら、真実を言い出せない不器用な2人の<やさしい嘘>は、国の未来を変えるのか―――。

https://wwws.warnerbros.co.jp/kinnokuni-mizunokuni-movie/

このお話の舞台は、隣り合う仲の悪い国、「金の国」と「水の国」です。商業都市として発展し、ぜいたくな暮らしが出来る砂漠の国が「金の国」、貧しいけれど緑豊かで水が豊富な国が「水の国」です。モデルとなっている国は、金の国は西アジアの国、水の国は東ヨーロッパや中央アジアの国でしょうかね。

戦争になってしまった2つの国の仲裁に入った神様が、2つの国に命令をします。

「金の国は国で一番美しい娘を水の国に嫁にやりなさい。水の国は国で一番賢い若者を水の国に婿にやりなさい。」

スタートはこんなおとぎ話のようなところから始まります。

神様にそう言われたものの、素直に従う気が無い両国の王様は、互いの国に結婚相手として、なんと犬と猫を送りつけます。

金の国側の主人公のサーラは、婿として犬を送りつけられてしまった女の子です。水の国側の主人公のナランバヤルは、図書館長の息子で、嫁として猫を送りつけられてしまった青年です。

サーラは王族の血筋ではあるものの、決して容姿が良い訳ではなく、自分に自信がない女の子でした。父親である国王からも可愛がってもらえず、水の国との国境付近の街で静かに暮らしていました。

ある日、送りつけられた犬を散歩中だったサーラは、犬を追いかけて水の国に迷い込んでしまい、そこで困り果てていたところで、たまたま通りかかったナランバヤルに助けられます。そこから2人は、お互いが相手の国から送られた結婚相手だと、周りに嘘をつきながら、偽りの結婚生活を送る事になっていきます。

こちらの本はA5サイズの単行本1冊でお話が完結するお話しです。

そして、面倒事を押し付けられてしまった、大して期待もされていない2人が国を変えていく話であり、素敵なラブストーリーでもあります。

少年漫画のようにアクションシーンや熱い友情のシーンがある訳ではありません。また、1巻だけの作品ですが、登場人物もそれなりにいるので、しっかりと人間関係を頭の中で理解しておかなければ、面白さも伝わりにくいでしょう。ただ、サーラとナランバヤルのお互いを思いやるやさしい気持ちに触れることで、感動出来る作品です。

最後に、この作品の魅力が伝わると思いますので、サーラとナランバヤルの作中での名言を、それぞれ1つずつご紹介しておきます。

まずはサーラから。

ある人から、ナランバヤルのことを「根性なし」「役立たず」とバカにされてしまったことで、頭に血が上り、普段の引っ込み思案な彼女なら、絶対にしないような挑戦をすることになります。その後の彼女の独白のシーンです。

今更 いいのです

私は 自分を 美しいと思ったことなんて

今まで 一度もないのだから

ただ

ずっと続けばいいと思った「昨日」を

少しでも守れるなら

傷つくことなど おそれている場合ではなかったのです

たった それだけの ことなのです

自分の大切な人のことをバカにされるくらいなら、自分が傷つくことなんてどうでもいい。そんなことを恐れている場合ではなかった。だから、挑発だとは分かっていても相手の話に乗ってしまった。とにかく必死だった・・・。

いいですか、皆さん。これが「愛」です!

そして、ナランバヤル。こちらもすごく良いですよ。

サーラの頼みで、偽りの夫婦として、金の国の他の王女たちに会うことになったナランバヤルが、「私たち3人の中で、結婚相手にするなら誰を選べばいいと思う?」という無茶ぶりな質問を投げかけられた際の返答です。

誰にすればいいと言っても、他の2人に角が立ってしまう、嫌な質問です。

これは父の言ってたことで全く私の言葉ではないんですが……

結婚して他人と家族になるということは夢物語ではない

我慢することや悲しいことは波みたいに押しよせて

最初に感じた愛や恋は月日と共にどんどんすりへって違う何かに変わっていく

だから君はそのときの美しさよりも

一瞬の楽しさよりも

自分の親兄弟と同じか それ以上に自分を大切にしてくれる人を探しなさい と

だからつまり…

お茶の時間に最後に残ったビスケットを

黙って1人で食べちゃう人は選んじゃダメってことなんですかね

このセリフの後に、ナランバヤルは「というわけでどうぞ お嬢さん」と、最後に残ったビスケットをそっとサーラに渡すんですよ。このカッコよさ・・・震えますね。学校の国語の教科書では、中々出会えないようなカッコよさでした。

相手の見た目がいい、この人といると楽しい、・・・相手の事を好きになるには色々な基準があると思いますが、結婚相手となると、「自分の事を大切に思ってくれる人を探す」ことが大事。・・・ものすごく共感できます。ものすごく大切なことだと思います。

自分なんて、相手にそんな風に思ってもらえないんじゃないか、自分にはそんな人は現れないんじゃないか、と自信が無い人もいるかもしれませんが、自分がやさしい気持ちで周りの人に接していれば、誰かがそれをみてくれています。だから、いつかきっと出会えるはずです。

ということで、いいですか、皆さん。これが…(以下省略)

さて、今回の紹介は以上です。以前、「ミステリと言う勿れ」という少女マンガを紹介したこともありましたが、やはり少女マンガはいいですよね!・・・もちろん、変な意味ではありません。苦笑

少年マンガや青年マンガよりも登場人物の心理描写に重点が置かれている気がして、ストーリーをしっかりと理解すればするほど、面白さが増してくると思います。

そして、私は塾の先生なので、どうしてもこれに結びつけてしまいますが・・・少女マンガをしっかりと読みこむことは、国語力を上げるための良い練習になります。

興味を持った方は、ぜひ教室の本棚を探してください!映画の方をご覧になった方は、ぜひ感想を教えてください!

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