【さかた塾リブート】【読書レビュー】鈴木るりか『さよなら、田中さん』
みなさん、こんにちは!進学塾ライトアップ、代表の西川です。
教室は毎日開けております。10/3(土)は10時から、10/4(日)は14時から教室を開けます。頑張りましょう!
少し前から、進学塾ライトアップの教室にもある一冊の本を置いています。
2017年に出版され、当時大きな話題を呼んだ『さよなら、田中さん』(小学館)です。
この本がなぜそこまで注目されたかというと、作者の鈴木るりかさんが、当時まだ「中学2年生(14歳)」だったからです。
さらに彼女は、小学4・5・6年生と3年連続で、小学館主催の『12歳の文学賞』で大賞を受賞し続けていたという、まさに天才的な才能の持ち主でした。
どんなお話?
主人公の小学6年生・田中花実と、ビンボーな母子家庭だけれど底抜けに明るいお母さんを中心とした日常を描いた短編集です。
笑いあり、涙ありのストーリーの中に、大人顔負けの鋭い人間観察とユーモアが散りばめられています。
例えば、お母さんがお見合いに行くために無理をしておめかしをしたシーンの描写。
日焼けしすぎて、煎った豆みたいなお母さんが今さら日傘をさしてもどうなんだ、と思ったが、その姿はなかなか風情のあるものだった。
「夜目遠目笠の内」
おばさんがボソッと言って、ニヤニヤしていた。
(本文より引用)
慣用句の知識や比喩の使い方が自然すぎて、中学生が書いたということを忘れてしまうほど引き込まれます。
塾講師として背筋が伸びたシーン
私個人的にとても印象に残っているのが、花実の友人・三上くんが自分の通っている塾について冷めた目線で振り返るシーンです。
塾側からは全く期待されていない。有名校に合格して進学実績を上げ、来年の生徒募集の吸引力になるような塾生には決してなれない。ステップアップだの実力強化だの逆転可能だのの惹句を並べて、一コマでも多く受講させ、授業料を搾り取るためだけの要員。
そんな扱いをされてまでなぜ行くのかというと、親が「子どもは塾に行っている。だから大丈夫」という安心感を得たいためだ。そのためだけに高い授業料を払っている。
(本文より引用)
同じ塾関係者として、このシーンを読んだときはちょっと背筋に冷たいものが走りました。
もし私の塾でも、生徒に「親の安心のために仕方なく行ってあげてる」と思わせてしまっていたら……と考えると、身が引き締まる思いです。そうならないよう、生徒たちと真剣に向き合い続けなければと改めて感じさせてくれる一節です。
鈴木るりかさんの「現在」と世間の評価
さて、この本が出版されてから数年が経ちました。当時中学生だった鈴木るりかさんは現在どうされているのでしょうか?
彼女はその後、早稲田大学(社会科学部)へと進学し、現在も「大学生作家」として第一線で大活躍されています!
『14歳、明日の時間割』『太陽はひとりぼっち』『落花流水』『星に願いを』など、次々と新作を発表。大学での学びや、現役受験生としてのリアルな孤独感などを作品作りに活かしているそうです。
さらに直近の話題として、2026年2月に文庫化された『14歳、明日の時間割』などをはじめとする作品群が、「読書メーター OF THE YEAR 2024-2025」のシリーズ部門で第1位を獲得するなど、子どもから大人まで幅広い世代の読者を魅了し続けています。
14歳の時の勢いにとどまらず、大人へと成長しながら言葉の引き出しを増やし、常に新しい世界を見せてくれる姿勢は本当に素晴らしいですね。
ちなみに、うちの塾には過去、鈴木さんのファンの生徒さんがいたので、今紹介している本たちも教室にあります!気になる方は、ぜひ手に取ってみてください。
「文学の入り口」坊っちゃん文学賞に挑戦してみませんか?
ここまで読んで、「こんなの天才だから書けるんだ。自分には無理だ…」と思った中学生の皆さん。
同感です。私にも書けません(笑)
でも、もし少しでも「自分の想いを文字にすること」や「物語を作ること」に興味が湧いたなら、ぜひ皆さんに知ってほしいコンクールがあります。
それが、しまなみ海道を渡った先、愛媛県松山市が主催する『坊っちゃん文学賞』です。近代俳句の父・正岡子規を生み、夏目漱石の小説『坊っちゃん』の舞台にもなった松山市が主催するこの賞は、現在「4,000字以内のショートショート(超短編小説)」を募集するコンテストとしてリニューアルされています。
【第23回 坊っちゃん文学賞】
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募集内容: 4,000字以内のショートショート(テーマは自由) [1, 2]
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応募資格: 年齢、プロ・アマ問わず誰でも応募可能 [2]
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賞: 大賞50万円、佳作10万円、小学生特別賞は図書カード1万円分 [3, 4]
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締め切り: 2026年9月30日(水)23時59分まで
なんと、今回の第23回の締め切りがつい先日終わってしまいました! 来年以降もきっと開催されるはずですので、今から書きためておいてもよさそうですね。
自己表現の練習として
中学生の皆さんにとって、高校入試には「自己表現」という名の面接や作文試験があります。そこでは「自分がどういう人間で、何を頑張ってきたのか」を言葉で伝える力が求められます。
文学賞への応募は、自分の頭の中にあるアイデアや想いを「文章」という形にして相手に伝える、最高のトレーニングになります。4,000字という短い文字数なら、部活や勉強の合間でも挑戦しやすいはずです。
読書の秋。
教室に置いてある『さよなら、田中さん』を読んで笑って泣いた後は、ぜひ皆さんも自分の中にある「想い」を文字に表現する面白さに触れてみてください!


