【社会】授業で映画を鑑賞しました!(その③)

みなさん、こんにちは!進学塾ライトアップ、代表の西川です。

9/6日、7月はお休みです。

先日、夏期講習最後の中3理社の授業の際に、生徒の皆さんと映画観賞をしました。この映画を観るのは今年で4年目です。

前回の映画観賞についての記事はこちらです。

【社会】授業で映画を鑑賞しました!(その②)

映画観賞に使っていくのは、今年も『なぜ君は総理大臣になれないのか?』という作品です。

「ただ社会を良くしたい」———愚直な政治家が歩んだ希望と挫折の17年。
2020年、最も世間を騒がせた傑作ドキュメンタリー‼
衆議院議員・小川淳也。2019年の国会で統計不正を質し、SNSで“統計王子” “こんな政治家がいたのか”と騒がれて注目を浴びた。監督の大島新が彼と出会ったのは03年10月10日、衆議院解散の日。民主党から初出馬する小川にカメラを向けた。以来、その無私な姿勢に惹かれた大島は、事あるごとに小川の姿を撮影するようになる。地盤・看板・カバン——後援会・知名度・選挙資金なしで始めた選挙戦、05年の初当選、安倍政権下での我慢の時期、移籍への苦悩…。17年間、小川を見つけ続けてきた大島の目に映ったのは、日本政治の希望か絶望か。

公式HPより抜粋

選挙というものがどういうものなのかを知ってほしくて、今年で4回目の上映なのですが、初めて上映した世代は今年18歳になり、選挙権を得る年齢です。彼らにとってはおそらく、来年春に実施される尾道市長選挙と尾道市議会議員選挙が初めての選挙になるでしょうね。(大学生になって、住民票が他の場所に移っていればもしかしたらその地域の選挙になるかもしれません。)

わからないこともたくさんあると思うけど、自分なりに調べて、きちんと自分の権利を行使してほしいと思っています。選挙にはほぼ毎回行っている私から、先輩として1つアドバイスをさせてもらうと、選挙の情報集めには「選挙ドットコム」さんがおすすめです。過去に実施された尾道市に関連した選挙の一覧がこちらです。

来年の選挙に向けて、立候補予定の方々の活動も活発になってきているように思います。ぜひ参考にしてください!

今年も映画の感想を見ていきます!

そして、今回の映画鑑賞後の生徒さんたちの感想です。

まずは「知らなかったことを知れた」系の感想はこちら。

・何よりも国民の想いを大切にしていることを強く感じられた。

・最初の方は何か言われるとかもなくけっこう良いとこ行ってたけど、途中から大敗したり、ひどいことを言われたりとけっこう厳しかった。世知辛い。

・立候補から選挙までの流れがみれたりして、色々な工程があるんだなと思いました。

・市民からの厳しい声などにも1つ1つ聞き、受け入れて取り組んでいて大変だけれど、成長するための過程で当然のことだと考えて受け入れていることがすごいと思いました。

・選挙では本人の力以外にもそのときの党の流れによっても変わる。メディアによって支配されている。

・小川さんが言っていた「政治を行う人たちの内部から変えていく」「勝つだけではない」という言葉が印象的でした。

・政治家にもまだ自分の信念を貫いて活動している人がいるのだと知れて安心した。

・選挙運動をしている中で、市民にコミュニケーションをとって信頼度を高めていったことはすごいと思った。

・「良い政治家は51対49の49のことも気に掛ける」「政治家という職はとにかく忍耐」という言葉が印象的でした。政治家は自分が思っている以上に努力している人がいた。

・選挙区と比例代表の当選者の間で権力や発言力の差がある。

素晴らしい感想だと思います。生徒の皆さんも、生徒会選挙という形で選挙というものは、なんとなくは知っているはずですが、やはり国政選挙の周りからの期待・落胆の大きさや、何が何でも当選しようという熱い思いを見ていると、色々と驚くところはあったんじゃないかと思います。

感想の中にあった、「選挙区と比例代表の当選者の間で権力や発言力に差がある」というのは、実は私もこの映画を観るまでは知らなかったことです。逆に考えれば、小選挙区にしか立候補していない人は、その人なら絶対に選挙に勝ってくれるという党からの信頼が厚いんでしょうし、比例代表にしか立候補していない人は、まだまだ影響力が小さい人なのかなという推測もたちますよね。

また、その時のメディアの報道の仕方や世間の流れによって、当選しやすさが大きく変わってしまうというのも、不思議で興味深いですよね。(ちなみに世間の流れによって自分や自分の所属する政党の形勢が良くなることを「風が吹く」と表現することもあります。)だから、メディアを通じてみなさんにとって耳心地が良いことばかりを言って、いざ政治家になってみれば、全然頑張っていない人というのも中にはいるかもしれませんね。だから、自分が応援したいと思っている人であれば、過去の公約などを改めて見返してみて、きちんと有言実行できる人なのかを見極める必要があるかもしれません。

「政治家は自分が思っている以上に努力している」というのも良い感想だと思います。平日は東京で国会に参加して議論をして、勉強会に参加することで自分の専門分野以外のことも知識を深め、周りの人たちと連携を深めなければいけません。休日になると地元に帰って、各地のイベントに参加したり、地元住民たちの声を聞いて、それを国会に届けなければいけません。(そのために選挙区から信頼されて選ばれているんですからね。)さらに政党の中で役職に就けば、自分のことだけでなく次の選挙で勝つために党全体のことを考えなければならない。上にもあったように、世間の印象によっても投票行動が大きく変わってしまうので、メディア戦略なども考えなければいけないでしょう。

選挙を長年見続けて、分析をしている人から見れば当たり前のことなのかもしれませんが、そこまでしっかりと理解できている国民はあまり多くないように思うのですがどうなんでしょうね?

さて、続いては「自分の政治に対する見方・感じ方が変わった」系の感想はこちらです。上の感想と境目が微妙なので、似たようなものもあると思いますがご容赦ください。

・見えない政治の部分が見え、見方が変わった気がする。

・最近の政治では裏金問題があったり、会議中に居眠りしている人がいたり、正直政治家は信頼できていなかったけれど、「国をより良くしていこう」という思いを背負って国民を第一に思っているのがすごくステキだと思った。

・投票ができるようになったら演説をしっかり聞いてから投票しようと思う。

・自分の目的が揺らぐこともなく、15年以上政治活動をしていることをすごいと思いました。私たちも様々な目的がある中で、折れずにどんなに時間がかかっても達成することが大事だと思いました。

・映画の中で小川さんの娘さんが「政治家にはなりたくない」と言っていたことから、日本全体的に若者が政治活動に対する意識が少ないことを改めて実感しました。

・今、私たちにできることは政治の仕組みをしっかり学び、私たちの未来のためにも数年後の選挙に参加し、自分の考え・意思を持つことが大事だと考えました。自分事として捉え、政治で取り組んでいることなどを知っていこうと考えました。

・政治活動は当選して終わりではなく、国会の場で自分の想いを伝えることや、選挙でえらばれるために努力をし続けなければならない大変な仕事であると思いました。

政治のニュースって、不祥事やスキャンダルが多くて、「この政治家は、こんな立派なことをして頑張っている!」というのはニュースになりにくいです。今の生活に対する不安・不満も、政治不信につながっているでしょう。だから、生徒の皆さんにとって「政治家=悪い人」というイメージがついてしまっているかもしれません。

ですが、映画の中で小川さん本人もおっしゃっていましたが「国民が政治家をバカにしているようでは、本当の意味でこの国は良くはならない」と思いますし、他人事としてバカにしてしまうのは、問題のある人を自分たちが選挙で選んでしまったことに対する責任放棄のようにも思います。選んでいるのは私たち大人の有権者です。だから、子どもたちが「悪い人」を選んだと感じるならば、大人の我々は「選考基準」を改めなければならないかもしれません。そして、中学生の皆さんも近い将来、この責任ある有権者の仲間入りをします。我々が選ぶべき政治家は誰なのか、一緒に悩みましょう。

一方で、もし今の政治家たちが本当に悪い人であるならば、一体どうやって選挙で国民から選ばれ続けているのでしょうか? 選ばれるということは、その地域の人たちにとっては「信頼のおける立派な人」です。だから、もしかしたら自分は、この人の悪い噂や悪い部分ばかり見ているのかもしれない、という視点も大切だと思います。

例えば、国民から人気はあまりなかった「増税メガネ」こと岸田文雄元首相だって、政策に関しては真面目で熱心な勉強家だと聞きますし、小選挙区の広島1区では圧倒的な票を集めています。会議での居眠り、顔が怖いなどと批判された石破茂元首相だって、地方創生に熱い気持ちを持っている政治家です。もしかしたら、寝る間を惜しんで頑張っているため、ウトウトとしてしまったのかもしません。

この映画では対立候補でしたが、小川さんのライバルである自民党の議員さんたちにだって、地域の人々の気持ちを背負って頑張ろうという決意を持ち、長年国政を担ってきた経験豊富で有能なベテランの議員さんがたくさんいます。

また、「小川さんの娘さんが『政治家にはなりたくない』と言っていたことから、日本全体的に若者が政治活動に対する意識が少ないことを改めて実感しました」という感想がありました。確かに、日本の若者が政治に無関心だから娘さんも政治に無関心で・・・という側面もあるかもしれませんが、私はどちらかというと「体力的にも大変な仕事だし、誰かに好かれる一方で必ず誰かには嫌われる仕事だから、自分は政治家にはなりたくない」という側面もあるように思います。

選挙で当選すれば地域では顔の知れ渡った有名人になります。そうなれば、常に地域の人の目に留まり、監視されているような状態です。下手な服装で外に出るだけでも馬鹿にされるかもしれないですよね。

それに、政治家というのは「必ず」誰かに嫌われます。

例えば、来年(2027年4月)から食品の消費税が1%に減らされますが、その分、得られなくなった税金を他の税金を値上げするなどして、補填する可能性があります。代わり法人税を値上げすれば、会社は今まで以上に税金を搾り取られるので、会社経営者の方たちからは良くは思われないでしょう。現在、高校授業料無償化ということで年間45万円ほど学費の援助が行われていますが、もしも「消費税を減らす分、お金がなくなっちゃったから、無償化をやめます!」と言われれば、私立に通わせているご家庭や学校関係者からは批判が起こるでしょう。だからといって、「消費税減税はやっぱり無し!」としてしまえば「選挙の公約を破るのか!」という批判が起こります。政府が1つのことを実行すれば、それで助かる人がいれば、損をする人もいるんです。

すべての人を幸せにするというのは、簡単なことではないんですよね。小川さんの娘さんは、自分のお父さんが支持されている姿だけでなく批判をされている姿も見てきたし、それを支えるお母さんや祖父母の大変さを見てきたからこそ、「自分はやりたくない」となっているように思います。そんなに大変でも、「国を良くするため」に自分を犠牲にして頑張ってくれている政治家の方がいると知っていれば、応援したい気持ちが湧いてきますね。

最後に「疑問」系の感想です。全部で3つありましたが、1つ1つ答えていきたいと思います。

・ベーシックインカムは公的扶助とは違うのか?

これは、授業で習った社会保障制度と、映画の中で話題に上ったベーシックインカムという制度が、どう違うのかという鋭い質問ですね。

簡単に言えば、「困っている人だけを助ける」のか「困っていない人も含めた全員を助ける」のかという違いがあります。

  • 公的扶助(生活保護など): 困っている人(収入が少ない人や病気の人)をピンポイントで助ける仕組みです。申請が必要で、「本当に困っているか」の審査もあります。

  • ベーシックインカム: お金持ちも生活に困っている人も関係なく、「全員に無条件で同じ金額を配る」仕組みです。審査も申請もなく、赤ちゃんからお年寄りまで全員が毎月一定のお金をもらえます。

これから先の世の中、「AIやロボットがいれば生産性が上がるし、人間の仕事を奪ってしまう」とされています。AIやロボットがどんどん売り上げを上げてくれる一方で、人間は働かなくても良くなってきます。

「じゃあ、AIやロボットが稼いだ利益を仕事が減った国民に配ってはどうだろう?」というのがベーシックインカムの出発点です。仕事をしていようがしていなかろうが、毎月一定のお金がもらえるという、実現すれば嬉しい仕組みですよね。

・なぜ周りから様々なことを言われても続けられたのか?

この答えはおそらく「どうしても叶えたい目標があるから」でしょうね。

映画に出てくる小川さんは「どうしても日本を良くしたい」「困っている人を助けたい」という強い信念(夢や思い)を持っていたからです。応援してくれる人の存在も大きかったのだろうと思います。

・せいとうがよく分からんかった。

まず、「政党」と言う言葉の意味は「政治的に同じ考え・意見を持った人たちのチーム」だと考えてください。みんながかなえたい目標が一致しているので、一緒にチームになって活動をしていくんです。

映画の中では政権交代を果たした「民主党」が、その後「民進党」に代わり、小池百合子さんの呼びかけで、「民進党」が「希望の党」に合流するところが描かれていました。ただ、小池さんが「排除する」「全員を受け入れる訳ではない」と発言したことによって、「民進党」の議員さんたちが分裂してしまいました。小川さんは、印象のあまり良くなくなってしまった「希望の党」のまま出馬するか、どの政党にも属さない「無所属」で出馬するか、旧・民進党時代には小川さんと関係の薄かった人たちが新たに作った「立憲民主党」で出馬するか・・・というところで悩んでいましたね。

少しは整理出来ましたか?

まとめ

ということで、長々と書いてしまいました。(ここまでたどり着けた人はいるでしょうか・・・苦笑)

選挙や政治と聞くと「難しそう」「自分には関係ない」と感じてしまいがちです。しかし、映画鑑賞を通して、生徒たちが自分なりに課題を感じ、深く考えてくれたことを嬉しく思います。ぜひ、昨年の生徒さんの感想も見てみてください。そして、色々な考えを持ってください。

選挙では、私自身も「本当にこの人でいいのかな?」と毎回不安な気持ちも混じりながら投票に行っています。だけど、その時の自分なりに集められる情報は集めた上で、しっかり考えて選んだ分、政治のことをもっと知って、良い選択をしたいという気持ちが高まり、年々政治への関心が高まっています。

引き続き塾では、生徒たちに自ら考える課題もうまく織り交ぜながら、政治や社会に関心を持てる若者を一人でも多く増やしていけるよう、指導に励んでまいります!一緒に政治について考えていきましょう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です