【高校紹介】広島商船高等専門学校(その①)(後編)
みなさん、こんにちは!進学塾ライトアップ、代表の西川です。
5/4月まで教室はお休みです。
さて、広島商船の学校紹介の後半戦です。前回の記事はこちらです。
ではさっそく行きましょう!
寮について
基本的には受験を検討している中学生の方対象の寮の紹介ですが、事前に連絡を入れて私も特別に寮案内に参加させていただきました! 寮の案内は人が集まったら2~3組の生徒・保護者を先生一人が順番に案内をして回るスタイルでした。


こちらが広島商船の生徒さんのうち約400名、7割ほどの生徒さんが利用している「若潮寮」です。
全部で5棟あり、1・2号棟は女子寮、3~5号棟は男子寮で、男子寮と女子寮の間はフェンスで仕切られていてす。今回案内されたのは男子寮の方で、男子は学年が上がるごとに3→4→5とより綺麗な寮へお引越しをするそうです。ちなみに、とてもきれいな5号棟は通常は4,5年生が利用するのですが、希望者全員が寮に入れるわけではなく、問題行動などで減点を受けた場合は下宿先を新たに探さなければならないそうです。

寮での1日のスケジュールはこんな感じです。私も高校時代は寮でしたが、朝も点呼をして、全員外へ出て(雨の日は玄関で)体操をして、その後は担当の生徒は掃除をしていました。広島商船は夜に掃除をするみたいですね。
寮の部屋は2人部屋と1人部屋があり、どの部屋にも机・ベッド・クローゼット・エアコンが完備されています。半年に1回部屋替えがあり、2人部屋か1人部屋になるかはランダムに決まりますが、2人部屋の場合は、希望する生徒さん同士で相部屋になることが可能なようです。
ここからは私個人の話ですが、寮生活というものは同世代のみんなとプライベートを共有し、学校生活では知らなかった「当たり前」を知ることが出来る良い機会だと思います。お風呂でどんな洗顔料を使って洗顔をして、お風呂上りはどんな化粧水や乳液で保湿をするなんて、学校では教わらなかったですし、どのヘッドホンでどんな洋楽を聴いて、どのマンガを読んで、どんな私服で外出をすれば、イケてる高校生になれるのかなんて知らなかったですからね笑(残念ながら、私は外出をあまりせずに、休日に外に出ると言えば部活か、グランドでサッカーをするかキャッチボールをするかくらいしかしなかったので、私服のセンスについては全然学べていませんでしたが・・・。) 特に親がそういったことに無頓着だったり、服から何から全部親に決めてもらっているような生徒さんにとっては、とても良い刺激になるんじゃないかな? 実際、私がそのタイプでしたので。
また、学校生活だけではなく、普段の日常生活からより多くのことを共有することによって、将来、社員旅行や友達との旅行、ルームシェアや恋人との同棲など、誰かと生活を共有するときの練習になると思います。自分勝手な行動をすれば周りに迷惑がかかりますし、関係が悪化します。しかし、たとえ関係が悪化したとしても、その人とほぼ1日中一緒に生活しないといけません。だから、こちらが折れて相手に合わせるか、相手に態度を改めてもらうか、何かしらのアクションをしないと、とにかくストレスがたまることになります。そういう意味で、寮生活というのは、良い関係を気づけた仲間がいたこと、お互い目も合わせたくないくらい関係が悪化したこと、色々な経験を含めてとても貴重な体験でした。
さて、自分語りはここまでにして、寮見学に話を戻します!

ご飯やお風呂は寮の管理人さんたちが準備をしてくれますが、掃除や洗濯は自分で行います。自分が洗濯したことを忘れていて、丸1日洗濯槽に服を入れっぱなしにして、生乾きのめちゃくちゃいや~な臭いになった服で生活をするなんていう「貴重な体験」もきっとできるはず!笑 そして、きっとほんの少しだけ、いつもは当たり前のように親がしてくれていた洗濯のありがたさを実感するはずです!

こちらは談話室です。軽い食事を作ったり、ルームメイト以外と集まってお話をしたりする場合はこちらでするようです。ここには共有の冷蔵庫もあって、自分の名前を書いて入れておくことができるようです。そして、冷蔵庫から何かを取り出す場合は、盗難防止のために冷蔵庫前に取り付けられたカメラに向かって、自分の取り出したものをきちんと見せないといけないようです。
私が暮らしていた寮も冷蔵庫は共有だったのですが、盗難防止のためのそういった確認作業はなかったので、あまり覚えていませんが、何度か食べ物がなくなったというような盗難騒ぎはあったような気がします。

お風呂はこんな感じでした。年季は入っていますが、きちんと掃除されていて、大事に使われているように見えました。


寮の食堂はこんな感じです。平日は朝と夜の2食、休日は3食提供されるようです。夏は冷やし中華、冬はおでんなど季節もののメニューもあるとか。
寮の食事って、自分の好き嫌いを考慮してくれるわけではないので、不人気なことが多いように思います。広島商船の寮の食事はどうなんでしょう? おそらく、自分の嫌いな献立のときは食事を食べずに、談話室にある給湯器でお湯を沸かしてカップ麺を食べたり、レトルト食品を食べたりする人もいるんじゃないかと思います。
この他にはWi-Fiが利用可能で、色々な本もおかれている学習室のようなところや、外泊申請をしたり、実家からの宅配の荷物を受け取ってもらえたりする寮の事務室、軽いけがなどをしたときに応急処置をしてもらえる保健室などがありました。
その他のルールとして、感染症になった場合は強制的に実家に帰省してもらうということ、門限は平日20時、休日は21時半でそれ以降は寮のフェンスが閉じられてしまうこと(交通の乱れなど、やむを得ず門限を超えてしまう場合は寮の事務に連絡をしておけば対応してもらえる)、寮に寮生以外を連れ込んだり、男子が女子寮に侵入したり、フェンスを乗り越えて抜け出したり、他人の物を盗んだりといった行為が発覚した場合は、即退寮になってしまうこと、などなど、案内してくださった先生は私の質問に、丁寧に教えていただきました。
パンフレットを見ると、寮生会という会があり、そこが中心となって焼きそば大会・かき氷大会・七夕まつりなど様々なイベントが企画されるようです。楽しく盛り上がれるイベントがあるというのもいいですね!
ちなみに、私の寮にもクリスマス会があり、その日はケーキを食べ、寮の食堂で映画観賞をし、ビンゴゲームを楽しみました。ビンゴゲームで2等の抱き枕が当たったのが、私のビンゴゲーム史上一番の大当たりで、今もその記録は塗り替えられていません!
寮生活というのは、多少のルールの違いはあれど、似ている部分が多くあるので、広島商船以外の他の学校であっても、きっと参考になることが多いはずです。中学生の皆さんは、この文章を読んで、少しは寮生活がイメージ出来たでしょうか?
寮の費用は月額約52,000円ということで、ご飯もついていることを考えると格安ですね。定期を使って毎日電車で通うことを考えると、時間もお金も節約できます。
商船学科の練習船「広島丸」について

寮見学が終わったら、道路を挟んで向かい側の海に停泊している練習船「広島丸」の見学に向かいました。


船の目の前には売店があり、限定グッズや食べ物を買うことが出来ます。

こちらも、ある程度の人数が集まったら、商船学科の先生や生徒さんが案内をしてくれるのですが、私が入ったグループを案内してくれたのはカッター部というボート部に所属する2年生の生徒さんで、人当たりが良くすごく丁寧に案内をしてくれました。
「内航(国内を航行する船)と外航(海外を航行する船)どっちを希望しているの?」
「内航は3か月船に乗ったら1か月お休み、外航は半年から1年船に乗ったら半年お休みだよ。」
「客船かタンカーか、どんな種類の船に乗りたいの?」
「商船三井に就職したらディズニークルーズの船に乗れるかもよ。」
「日本郵船みたいな大手に就職したかったらTOEICの勉強しないといけないよ。」
などなど、中学生たちに分かりやすく説明してくれていて(私はそれを盗み聞きしていて笑)、すごく良かったです。先輩や先生たちから、色々な情報をもらえるんでしょうね。
ここからは、時間もたっているのと、私自身が商船学科についてあまり詳しくないので、少しあやふやな知識で話す点をご了承ください。(ご指摘をいただいた誤りがあれば随時訂正をしていきます。)

カッター部の生徒さんたちが実際に使うボートがこちらです。現在、全国大会2連覇中で、部員は絶賛募集中だそうです。部活の一環として大崎上島を一周したり、長崎県にある世界遺産の軍艦島を一周したりするそうです。船の上から、遠くにある島を指さして、「慣れてきたらあそこの島までの往復を30分くらいで出来るようになりますよ。」と教えてくれました。なかなかハードな部活のようですが、自分の乗っている船に万が一があったときの救命ボートの操縦など、自分の命を守るための練習にもなると思うので、将来船乗りになる生徒さんたちにとっては重要な部活動ですよね。

写真だと分かりにくいですが、3メートルくらいありそうな巨大な錨(いかり)の実物や・・・

数キロ先まで見渡せる超高性能な双眼鏡・・・

実際に利用している海図なども見せてもらいました。海図を見ながら自分の船の位置を特定する「クロスベアリング」という技法なども授業の中で学習・習得していくそうです。

船の操縦室はこんな感じ。「おもかじ、いっぱ~い!」とか言いながら回すハンドルは思ったよりも小さかったです。それだけではなく、色々なボタンがありますね!

談話室。

たしかこれは船のエンジンだったはず・・・広島丸には2つついているんだそうです。

こちらは制御室で、船の電気系統や動力がきちんと正常に作動しているかどうかを確認するところです。
私が見ても何が何やら全くわかりませんが、船乗りの皆さんにとっては1つ1つのボタンの意味や、異常な状態の見分け方、異常が起こったときに何を点検し、どう行動するかを知らなければ、乗っている船員全員の命に関わります。

船室はこんな感じ。


応接室?のようなところには知事や芸能人など色々な方のサインがたくさん!

古いヤシの実をデッキタワシとして使うんだそうです!


航海実習では、最初は九州や神戸など割と近場に行くそうですが、5年生になるとハワイやシンガポールなど海外にも行くそうです。もちろん、嵐による船の転覆や、船同士の衝突、船の座礁、ニュースにもなっているホルムズ海峡の封鎖のように、命の危険に関わるような大変なこともあるでしょうが、それでも楽しく、充実した生活を送れるはずです。
入試制度について
最後に入試制度について確認をしておきます。
ここまでの説明をお読みくださっている方は、かなり高専への受験に前向きな方だと思うのですが、そもそも、高等『専門』学校なので、まずは専門分野に興味があることが大前提かと思います。
数学が大嫌い!・・・なのに高専を目指すというのは入学してからの勉強が相当大変だと思いますし、商船学科に行くつもりなのに、船や海が嫌い!というのも苦労すると思います。寮生活についても、一人で黙々とスマホをいじるタイプの生徒さんよりは、周りと積極的にコミュニケーションが取れる生徒さんの方が楽しいのではないかと思います。親元を離れることに不安を感じる生徒さんも要注意かもしれませんね。
また、商船学科に関しては、長期間船に乗る生活に耐えられるかどうかを見るために健康診断証明書が必要になります。船員になった際に、仕事に大きな支障が出るような色覚の異常や病気の有無、視力などを検査して提出する必要があります。不安な方は早めに高専に問い合わせておきましょう。
そして、通うとなると、中学校時代と比べて大きな環境の変化になるはずなので、まずは、オープンキャンパスに参加して、どういった場所で、どんな先生たちに学びながら、どんな勉強をしていくのかを見てから決めましょう!
入試に関しては、基本的には①推薦入試、②学力検査入試の2種類のみです。入学辞退者が出て、定員割れをしてしまった場合のみ、例外的に二次募集がおこなわれる可能性がありますが、基本的にはありません。また、学力検査入試では、商船学科は弓削商船と広島商船、そして山口県の周防大島にある大島商船の3校で「複数校志願受験制度」という制度、総合科学科に関しては呉高専との間で、「広島県内2高専連携制度」もあります。前者に関しては後述します。後者に関しては、少し前のブログをご覧になっていただくか、こちらをご覧ください。
①推薦入試(例年1月の中旬に実施)
まず、広島商船を第一志望として考えている皆さんは、必ずこの推薦入試から受験をしてください! というのも、推薦入試の募集は商船学科、総合科学科ともに定員の75%(商船学科は40名中30名、総合科学科は100名中75名)ですから、ほとんどの生徒さんが推薦で合否が決まっています。商船学科に関しては、視力や色盲の有無など学校が課す一定の身体基準をクリアする必要がありますが、それ以外は特に基準は設けられていないので、中学校長の推薦があれば誰でも受験が出来ます。どんどん挑戦しましょう!
また、広島商船には「特別推薦」というものがあります。
①5教科3年間の成績の平均が3.8以上
②5教科3年間の成績の平均が3.6以上であり、かつ3年次5教科の成績の平均が4.0以上
①、②のうち、どちらか片方でも条件を満たせば、特別推薦に出願できますが、この基準を満たしていれば実質内諾をもらえている状態です。面接でよほどのことが無い限りは、この特別推薦を受けられる時点で合格はほぼ確実です。こういった制度をうまく利用するためにも、中1から内申点にはこだわっておきたいところです。
例えば、中1終了時点で5教科の内申がALL3だった生徒さんは、そこからめちゃくちゃ頑張って中2・中3と5教科の内申でALL4をもらえたとすると、3年間の成績の平均は3.66…、中3の内申が4.0となるので、①の条件には足りませんが、②の条件でギリギリ出願が可能(=合格の内諾がもらえる状態)ということになりますね。
推薦入試は、当日広島商船での面接試験のみですから、リラックスして試験に臨みましょう。まずは1.志望理由、2.中学校で頑張ってきたこと、3.高校で頑張りたいこと、4。将来の夢・目標の4点セットをきちんと理由つきで話せるようにしておきましょうね。
②学力検査入試(例年試験日は2/10前後)
広島商船を第二志望以下にしている、つまり他の公立や国私立との合否を見てから進学するかを検討したいという生徒さん。あるいは、推薦入試に落ちてしまったけれど、どうしても広島商船に通いたいという生徒さんに関しては、この学力検査入試を受けます。
入試自体は高専が全て共通の問題を使用しますので、呉高専や弓削商船と同じ問題です。英語では英文を読んで計算問題をする必要があったり、数学や理科の計算もなかなか大変だったり、社会も細かい知識が必要な問題だったりします。過去問をしっかりと解いて十分に準備をする必要があります。
科目ごとの傾斜配点はなさそうです。どの教科もまんべんなく得点が取れるようにしておきましょう。
内申点は中1・中2・中3の9教科の内申135点満点と当日の英・数・国・理・社の学力調査得点500点満点、この2つを合わせた635点満点のうち、点数が高い順に合否が決まっていきます。内申を取っておくに越したことはありませんが、当日の入試得点の方がかなり割合が高いので、しっかりと入試で点を取れる力を鍛えておく必要があります。学力調査得点の合格ラインは詳しくはうかがえませんでしたが、おおまかにいえば5割から6割の間くらいだと伺っているので、高専入試で平均6割、300点を取れるように勉強をすれば余裕をもって合格を勝ち取れるはずです。ただしこれはあくまでも目安なので、受験者が増えるとそれ以上の点数が必要になる場合もあります。推薦入試で多数の合格者を出しており、定員がもともと少ないことも考えると、受験者が10名増えるだけでも状況は大きく変わりますので、油断は禁物です。
商船学科に関しては、まずは事前に生徒さんたちは弓削商船と広島商船、そして山口県の周防大島にある大島商船の3校の中で、第1~第3志望まで事前に提出をしておくそうです。そして入試の後、各校がそれぞれの学校を第一志望としている生徒さんの合否を出します。そして、各校の不合格者の中で、他の高専を第2志望、第3志望として出している生徒さんがいた場合、自校の出している合格者よりも、他校を第一志望としていた不合格者の方が点数が高ければ、合格をその生徒に与える(代わりにその学校を第一志望としていた生徒の不合格者が増える)という制度です。
そのため、場所を選ばなければ商船学科の場合は、ギリギリ不合格になってしまう生徒さんを救済する制度(裏を返せば他校をギリギリ合格した生徒さんを落とす制度)があるということです。実際にこの制度によって、どれくらいの合否の変動があるのかについては確認をしておりませんので、気になる方は説明会などで先生方に質問をしてみても良いかもしれません。
まとめ
ということで、前編・後編の2回に分けて長々と広島商船について語らせてもらいました。
以前、弓削商船の先生が、「自分の子どもの能力以上の成果が得られる学校」という言葉を使われていましたが、広島商船を見ていても同様のことが言えると思います。高校受験の偏差値50~55くらいの生徒さんが、塾無しで国公立大学に進学できるかもしれない、一流企業に勤められるかもしれないと考えると、おっしゃっている意味がよく分かります。
また、進学実績だけでなく、離島という親元から離れた環境で、生徒たちが中心となって学校を作り上げているというのは、生徒さんたちの今後にとって大きな財産になると思います。
もちろん、多くの友達と一緒に地元の近場の高校に進学するというのも1つの手ではありますが、勉強があまり好きではないとか、勉強の好き嫌いが激しいとか、進学校のようなハードな指導は望んでいないとか、勉強以外にやりたいことがたくさんあるとか、そういった生徒さんにとっては、すでにブログを書いている弓削商船しかり、西条農業しかり、やりたいことをある程度決めてから高校に入った方が、楽しく充実した高校生活を送れるように思います。
進路に迷っている皆さんはぜひ参考にしてみてください!


