【高校部】中学時代無敵だったあなたに贈る「手抜き」のススメ

みなさん、こんにちは!進学塾ライトアップ、代表の西川です。

日比崎の生徒さんは期末テストお疲れ様でした!高西はあと1日残っています。向島中の生徒さんは明日からテスト!そこから、向東・久保・栗原・長江・・・と続きます。最後の最後まで頑張りましょう!

さて、今回は高校生の生徒さん向けのお話です。うちの塾に通えるのは基本的には中3までで、高校部に関しては募集をしておりません。(自習に来てもらうのは大歓迎!) だから、今回する話は、今塾にいない卒業生たちに向けての話です。卒業生の生徒さんたちの中には、定期的にHPを見てくれている生徒さんもいらっしゃるようですし、今テスト勉強を頑張っている中学生たちは、今は関係ないかもしれないけれど、高校生になったときに思い返してこれを読んでみてほしいと思って書いています。

先日、とある卒業生の生徒さんから久しぶりにメールをもらいました。「中学時代、必死に友達、そして西川先生と塾で勉強漬けになっていた時間が、確実に今の私の自信に繋がっています。『頑張れる自分』を見つけられて本当に良かったです。」なんて書いてくれていたので、とても嬉しかったですし、数年という時間がたってもそんな風に思ってもらえるのはとてもありがたいことです。

高校に進学してから、塾に来て顔を見せてくれて、学校の話をしてくれる生徒さんたちがいらっしゃいます。みなさんが成長している姿を見るのはとても嬉しいし、どの高校がどんな様子なのか、塾対象の説明会ではわからないものを教えてもらえるころもあるので、とても貴重な機会だと思っています。塾が開いているときに、ぜひ顔を見せてください。

話を戻しまして、今回させてもらう話というのは、そんなわざわざ塾に来てくれた生徒さんたちが、私に話してくれた悩みに対する回答として書いておきたいと思います。コツコツ勉強を頑張っているタイプの中学生のみなさん、そして中学校時代はコツコツ勉強を頑張ってきて、高校でもそれを継続しているけれど、高校に入って勉強で思うような結果が出ていないと感じているみなさんは、よければ少しお付き合いください。

高校でも完璧を求めるということは…

中学時代は、定期テストも完璧にやり切って、平均9割以上、内申はALL5、もしくはそれに近い成績だった生徒さんによくある悩みが、「進学校に通っていて、中学校の頃のように全部を完璧にやろうと思うと時間が全然足りない。」というものです。完璧にやり切ろう、理解しよう、そして覚えたことをテスト当日まで忘れないでおこうとすると、とても大変です。

というのも、進学校の場合、そもそも授業の進度が速いし、勉強内容も一気に難しくなります。中学校時代なら、先生が1から10まで丁寧に教えてくれていたことだって、高校はそもそも内容が1から50まであったりします。

そして、「1から5まで教えたんだからあとは全部わかるでしょ?」だったり「1から10はみんな理解していることだと思うから11から教えるね。」だったり・・・。そんなことは普通にあります。そしてそれに勉強ができる大半の生徒たちは、ついていけてしまうんですよね。

そんな状態で学校が進むもんだから、すっかり自信がなくなってしまったり、部活も運動部は避けて…、高校1年生のうちから中3の受験生のときくらい勉強時間をかけて…、と頑張ってくれたりしている生徒さんたちもいます。だけど、それだけ頑張っても時間が足りないし、模試の結果も伴ってくれない・・・となってしまうんですよね。

それもそのはず。進学校において、毎回毎回学校で習う内容が全部理解できていて、定期テストで全教科9割以上とれていれば、全国のどの大学にもどの学部にも行けますからね。全国トップクラスの学力ということになります。そうやって全部を完璧にしなければならないのは、「東大・京大・国公立の医学部・歯学部・薬学部」を目指す生徒さんくらいかと思います。(逆に東大・京大・医歯薬を目指す生徒さんは全教科9割を目指すくらいじゃないと、合格は厳しいです。)

そんな悩める生徒さんたちによく話しているのが、まずは「志望校・目標」を決めること、そしてそれが決まったら、学校の授業で「手抜き」をすることです。中学校時代、すべての勉強が完璧だった人に、「手抜き」をしろと言っても、心や体が受け付けてくれない可能性がありますし、そんなことを言うと高校の先生に嫌われてしまうかもしれませんが、・・・まぁ聞いてください。

高校受験と大学受験の大きな違い

高校受験と大学受験の違いは何でしょう? これを考えることは、高校に入ってからの勉強をどのように進めればよいのかを考えることにもつながります。

大学入試の方が難しい、大学入試の方が選択肢が多い、大学入試には共通テストがある、大学入試には総合型選抜などの色々な形の入試がある、・・・などなど、答えとなりそうなものは色々とあります。

ですが、今回したい話でいうと、答えは「大学受験は教科ごとの傾斜が大きい」ということです。つまり、大学入試に向けた高校の勉強というものは、どの教科も均等に勉強をするのではなく、自分が将来使うであろう教科をたくさん勉強し、そうでない教科はうまく「手抜き」をするという濃淡をつけるべきということなんです。

これをもう少し詳しく説明してみたいと思います。

例えば、みなさんがこれから受験をする高校受験は、一部の学校を除いて、受験科目の配点は均等です。広大福山であれば各教科40点ずつ、呉高専や私立高校であれば各教科100点ずつ、広島県の公立高校であれば各教科50点ずつで、英数国理社の5教科が全部同じ配点です。

尾道周辺のみなさんが受験をする可能性のある高校の中で、配点が均等ではない学校、例外の学校はどこかといえば、誠之館尾道北尾道東です。誠之館は特色枠で英数が300点ずつ、国語が100点、理社が50点ずつですね。(英語は一部自校作成、数学はすべて自校作成) 尾道北は特色枠、一般枠両方ともに、尾道東は特色枠のみ、英数が100点ずつ、国理社が50点ずつです。当然ですが、誠之館や尾道北や尾道東を受験したい生徒さんは、理社の勉強よりも英数の勉強により多くの時間を割かないとダメです。もちろん、最初から3教科入試である県立広島や市立福山も同様です。学校が決めた配点というものは、みなさんへのメッセージです。高校がみなさんに「英語や数学をたくさん勉強してくれ!」と言っているのに、それを無視しますか?

大学入試も誠之館や尾道北や尾道東と同様に、傾斜がかかっている教科が違うので、重視する勉強というものが大きく異なります。どの大学を受けるかだけではなく、どの学部・学科をどのタイプの入試で受けるかによって違います。

つまり、志望校を決めて、利用をする可能性のある入試のタイプを決めれば、学校での勉強も、どの勉強は本気でやった方がよくて、どの勉強は少し「手抜き」をしても良いのかが分かってくるということです。高校1年生のみなさんは、10月にはおそらく来年度以降の文系・理系を選択し終えていると思いますので、志望校がまだはっきりとは決まっていなかったとしても、すでにみなさんは、勉強の濃淡をつけた方がいい段階に入っています。

広島大学を例にとって考えてみよう!

例えば、昨年度(2024年度入試)の資料をもとに、①広島大学文学部人文学科、②広島大学経済学部経済学科、③広島大学理学部数学科、④広島大学医学部医学科(A配点理科重視型)という、同じ広島大学の中の4つの学部・学科の配点をそれぞれ見てみたいと思います。

(※ここでは、わかりやすく説明するために、教科は英数国理社という区分で、共通テストと2次試験をごちゃまぜにした合計得点で、前期試験の話をします。)

英600点・数200点・国600点理100点・社400点・1900点満点

英600点数600点・国200点・理100点・社200点・1700点満点

③英550点・数900点・国200点・理550点・社100点・2300点満点

④英500点・数500点・国200点・理1400点社100点・2700点満点

①②はいわゆる文系の学部、③④はいわゆる理系の学部ですが、いかがでしょう?

例えば①の場合、英語・国語と数学の入試得点が3倍違います。理科は6倍です。ではこの学部を志望する生徒さんが、平日に毎日5時間勉強をしているとして、毎日英数国理社を1時間ずつで合計5時間勉強するのと、理科はふだんあまり勉強せずに、英国社を中心に勉強するのと、どちらが合格の可能性が高いでしょうか?

②の経済学部経済学科を志望する生徒さんはどうでしょう? 同じ文系ですが、経済系の学部は数学の配点が高いことも多いです。この場合は英語と数学を毎日2時間ずつ、残りの1時間を国語・社会とした方がよくないですか?

③の生徒さんは英語・数学・理科で2300点中の2000点が決まるわけですから、国語と社会の300点なんて誤差の範囲内ですよね?普段から数学を中心に、英語・理科もある程度は勉強する形で、この3教科だけ勉強した方がいいんじゃないでしょうか?

④の生徒さんも③の生徒さんとほぼ同じです。英語・数学の力を高校2年生までにしっかりと固めて、すでに自分が入試で目標とする得点の6~8割は取れるようにしておいて(←こうなるためには血のにじむような努力が必要)、あとは高校3年生になってからは過去問演習を週に1,2回+その復習だけでいいようにしておく。そして、高校3年生になってからは理科を中心に勉強した方がよさそうですよね。もしくは、理科が大好きでたまらなくて、模試で偏差値80や90が取れる生徒さんはこのタイプがいいでしょうね。

さらに過去問研究に関しても・・・という話もしたいのですが、それは今回のテーマからは少し外れてしまうのでいったん置いておきます。

ただ、いきなり解く必要はありませんが、出来るだけ早いうちから、自分の目標とする大学・学部の過去問に目を通して、何をどれだけ頑張った方がいいのかを意識しておくに越したことはない、ということだけ言っておきます。

みなさんが「手抜き」をするのはどの教科?

ここまでご覧いただいてわかるように、皆さんが目標としている大学・学部・学科・入試形式の配点に合わせて、普段の勉強時間の比重も変えていくべきです。「手抜き」というのはそういう意味で、配点の低い教科を勉強する時間を配点の高い教科の勉強に充ててほしいという意味で使っています。

だから、高校生の生徒さんとお話をするときに「英語と数学だけは学年30位以内を目指そう。他は別に赤点を取らなきゃ何位でもいいんじゃない?」とか、「理系に行きたいなら、もっと古文の予習は手を抜いていいよ。教科書ガイドを見たり、ネットで検索したりすれば全訳が見るかるからそれを使いな。」とか、「友達と何人かで分担して予習をするとかどう?」とか、「予習は少し手を抜いていいから、その分毎週の英語の単語テストで連続合格を目指そうよ。」とか、そういった話をさせてもらうことがあります。

英語や国語に関しては、ぜひ「教科書ガイド」(1冊3,000円くらいするのでちょっと高いですが・・・)を使って、予習の負担を減らしていってください。

英単語に関して、英語が得意な生徒さんに話を聞くと、学校の単語帳とは別の単語帳(「速読英単語必修編」「システム英単語」「単語王」「ターゲット」「DUO」など)を自習用に購入して、それを遅くとも高校1年生の終わりころからは意識して取り組んでいる人が多いようです。当たり前ですが、単語を知らなければ文章が読めませんし、逆に少々文法が分からなくても、単語さえわかれば文章の内容は十分に理解できますからね。英語の模試で結果を残すためには、単語力は絶対に必要です。

また、卒業生の皆さんには、出来なかった単語や覚えきれなかった単語をLoqLogに登録して、何度も復習するという勉強法も可能です。卒業生の皆さんのアカウントは、卒業後もそのまま使えますからね。(全く使ってもらえなかったため、閉鎖したアカウントも一部ありますが、その場合は連絡をしてくれれば復活させることが出来ます。)

自分の勉強スタイルを見直すことも大切ですね。頑張っても目標とする結果が出なかったときに、努力がまだまだ足りなかったのか、努力の仕方が間違っていたのかをしっかりと自己分析して、勉強法を工夫していくことが大切です。これって、「作業の効率化」「タイパ・コスパの重視」という意味で、大学生や社会人になっても必要な能力だと思います。

さあ、みなさんはどの教科の勉強を削って、代わりにその時間をどの教科の勉強に充てて、何を勉強しますか??

最後に

ということで、ここまで勉強時間の効率化という意味で話をしてみました。

ただ、今まで話してきたことを全部ひっくり返してしまうかもしれませんが、そうやってうまく勉強時間を調整できたとしても、それでもまだ足りない可能性があります。

どういうことか?

その答えのヒントは皆さんが勉強した、中3の国語の教科書にあります。

孔子の『論語』です。今回は漢文の方ではなく、書き下し文の方を使わせてもらいます。

子曰はく、「之を知る者は、之を好む者に如かず。之を好む者は、之を楽しむ者に如かず。」と。

かぎかっこの部分は、「何かについて詳しく知っているというだけの人は、それを好きな人には及ばない。それを好きな人は、それを真に楽しんでいる人には及ばない。」という意味です。ただ、課題をこなしてテストで点数を取っている「だけ」では、その教科が好きな人、その教科を楽しんでいる人にいつか負けてしまいます。中学時代は別にその教科のことが好きではなくても、なんとなく結果が残せていたかもしれませんが、高校になってくるといかに好きでいかにその教科の本質と向き合っているかが大切になります。

これ、真面目に言われたことをやるコツコツタイプの生徒さんたちには意外と欠けていることなのではないかと思います。勉強で突き抜けている生徒さんって、勉強のことをめちゃくちゃ楽しそうに話すんですよね。入試問題をとことん研究して、どの大学の入試問題が面白くて、どの問題が微妙かを語ってくれたり、最近新しい研究論文が発表されて、今ここまで研究が進んでいると私に教えてくれたり、とにかく良い意味で「オタク」なんです。

例えば、数学がどうしても好きになれない人には、「数学ガール」という小説や、「数学ゴールデン」、「数字であそぼ。」、「はじめアルゴリズム」といった漫画があります。これらがみなさんにとって数学を身近にしてくれるかもしれません。どれも中学生や、数学が苦手な生徒さんには少し読みづらいかもしれないので、それなら先日紹介した教育系YouTuberのタカタ先生の動画を見るのでもいいかもしれません。

歴史が好きになれないのなら、以前紹介した「コテンラジオ」というポッドキャストもありますし、「応天の門」「信長を殺した男」「アンゴルモア」など、塾にいくつかの歴史を題材にしたマンガを置いています。「日本の歴史」も全巻購入してあります! それが難しければ、歴史を題材にしたゲームをプレイして、そのシナリオをちゃんと読むようにするとか、「逃げ上手の若君」や「平家物語」のような史実をもとにしたアニメやNHKの大河ドラマを観るのも良いかもしれません。

英語のリスニングに苦手意識があるのなら、日本のアニメを外国の方がリアクションしている動画を見ることだって、何もしないよりは対策になります。国語が苦手なら、ライトノベルから初めて、文章を読むことが苦ではならない状態にしておきたいところです。

まずはそういった気軽なところから始めてみて、面白かったポイントを書き留めたり、誰かに話したりしてみましょう。そうすれば、授業中に自分が興味を持ったところの話が出てくれば、前のめりで授業を聞けるでしょうし、他の友達から別の面白い作品を紹介してもらえて、さらに知識や興味関心が広がることだってあると思います。そうやって、自分が受験に使う教科を好きになり、楽しめるようになれば、皆さんの受験にとって大事な武器になります。

マンガなどを読んで楽しめ!って、額面通りに受け取ると、サボっているような気がして罪悪感があるかもしれませんが、どうしても深く理解して強くしたい教科があるのならば、「手抜き」によって削った他の教科の勉強時間を、この時間に使ってみるのも良いと思います。

最近あまり更新できていませんが、私の読書レビューや理科の実験動画探してみましたシリーズも、もしかしたら役に立つかもしれません。

【読書レビュー】郡司芽久『キリン解剖記』

【読書レビュー】吉田たかよし『元素周期表で世界はすべて読みとける』

 

ということで、思ったよりも長くなってしまいましたが、中学校時代に頑張ってくれた皆さんが、夢を実現できるように陰ながら応援しています。中学生の皆さんは、コツコツ勉強を頑張りながら、自分が好きなことをたくさん探していきましょう!

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