【読書レビュー】魚豊『チ。―地球の運動について―』

みなさん、こんにちは!

進学塾ライトアップ、代表の西川です。

中3の皆さんは、数学で今、平方根を頑張っています。

計算スピードを速くするために、

よかったら、以前紹介したゲームをやってみましょう。

数字をみたときに、パッと分解できるか、

48 → 16×3!

72 → 36×2!!

98 → 49×2!!

75 → 25×3!!!

どんどん、練習をしましょう!

さて、先日の中2の国語の授業で、

天動説・地動説の話題が出ました。

中2の皆さんは、もう説明できますかね?

「地球が太陽の周りをまわっている」が「地動説」

「他の星が地球の周りをまわっている」が「天動説」

でしたね。

先生が作った「振り返りプリント」も、

歴史のお話だけではなく、

国語の解き方も色々と書いています。

3時間以上かけて作った力作なので、

ぜひしっかりと読んでください!

みなさんにとっての常識が、

当時は常識じゃなかったんだよ、

というお話も少しさせてもらいました。

そして、なんと、

そんな「天動説」「地動説」をテーマにした

マンガが、今プチブームだというじゃありませんか!

・・・ということで、

マンガ大賞2021の第2位!!

これは面白いわけがない!と、

さっそく、今出版されている全3巻を

買ってしまいました!笑

命を捨てても曲げられない信念があるか? 世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか?

「ひゃくえむ。」で100m走にすべてを捧げる人々を描いた超新星・魚豊が舞台を青年誌に移して新たに描くのは、「禁じられた真理」を探求する人々を描いた一大叙事詩。

舞台は15世紀のヨーロッパ。異端思想がガンガン火あぶりに処せられていた時代。

主人公の神童・ラファウは飛び級で入学する予定の大学において、当時一番重要とされていた神学の専攻を皆に期待されていた。

しかしある日、ラファウの元に現れた謎の男が研究していたのは異端思想ド真ン中のある「真理」だった———!! 

コミックのサイト(https://bigcomicbros.net/work/35171/)より抜粋

https://bigcomicbros.net/work/35171/

15世紀のヨーロッパではキリスト教の教えは絶対。

だから、教えに異を唱えるような学問は

『異端(いたん)』とされ、禁止されています。

異端者として捕まった人たちを待っているのは、

一度目は激しい拷問、二度目は死刑だそうです。

それでも、一度火がついた人の探求心は止められない。

どんなにキリスト教が抑え込もうとしても

抑えきれなかった、「真理・真実」を求める

人間のすごさを感じられる作品です。

当時、天文学の世界で信じられていたのが、

プトレマイオスという人が唱えた『天動説』。

それによると地球以外の星の軌道が

こんな感じだったそうです。

『チ。―地球の運動について―』第1集(小学館) p.39より

真ん中にある「T」が

地球(「テラ」と呼ばれていました)で、

それを中心に、星たちは

複雑な動きをしていると考えられていました。

この奇妙な動き方が理由で、惑星には

「惑わす」という字があてられているんですね。

しかし、こんなぐちゃぐちゃに思われていた

惑星たちの軌道も、『地動説』の考え方で、

自らが回る「自転」と、太陽を中心に回る「公転」を

同時に行っていると考えると、どんな軌道が予想されるか・・・

『チ。―地球の運動について―』第1集(小学館) p.663より

これが私たちが知っている「太陽系」の図ですね。

ということで、正解にたどり着けるわけです。

とある異端者から、

この軌道の美しさに気づかされてしまった

ラファウくんは、異端とされていた地動説に

魅入られてしまいます。

『チ。―地球の運動について―』第1集(小学館) p.82-83より

命が惜しければ、

大人しくキリスト教徒たちに従って、

はいはいと言って、

天文学の勉強を諦めれば良かったのですが、

もう止められない。

自分が異端として殺されてしまうなら、

この考え方は、誰かに伝えなければならない・・・。

ということで、一巻の終盤は、

怒涛の展開が続きます。

実は、中2の皆さんは、

私が作った「振り返りプリント」を見れば、

このマンガの「結末」「オチ」・・・、

つまり、『地動説』がどのように

世界から受け入れられたかが分かってしまいます。

ですが、きっとこの作品は、

そんなネタバレなんてはねのけるような

ものすごいパワーを持っているはず!

以前紹介した、『ペリリュー』だって、

『村上海賊の娘』だって、

歴史上の事実にほぼ忠実に従う作品なので、

少し調べれば、結末は分かってしまいます。

ですが、読んでいると、

ドキドキが止まらない。

次の展開が気になって仕方がなくなります。

『チ。』に関しては、

キリスト教の拷問シーンが描かれているので、

見る人によっては、

気持ち悪くなるようなシーンもあります。

ですが、これが「当たり前」の世界が、

かつて世界のどこかにあったという事実を

ぜひみなさんにも噛みしめてほしい。

同じ時期の「魔女狩り」について、書かれたマンガも

以前、紹介させてもらいました。

『魔女をまもる』の方は、直接的な拷問のシーンは

描かれていないので、まだ読みやすいかもしれませんが、

中世の歴史、その他色々な知識をつなげるためにも、

ぜひ、どちらの作品にも挑戦してみてほしいです。

ということで、あの国語の授業のおかげで、

私はこのマンガと出会えました。

皆さんも、興味・関心を持ったところから、

どんどん世界を拡げていきましょう!

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